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May 10, 2010


あの頃

友人であるHくんは、会う度に「あの頃」の事をわたしに言います。

今から10年ぐらい前のあの頃。 わたし自身は別段デザインに迷っていたわ
けではないというか今に変わらず「デザイン」しておりました。

しかし20年以上前のわたしのデザインを偶然わたしと知らずに知ったHくんに
は、その10年前にわたしが『いいだろう?』と聞いてくるデザインの数々に
ほとほと辟易していたそうです。

『この頃のアキタさんのデザインはいいですよ。うん。いい。』そう言ってく
れます。

Hくんは一人ですが、たぶんそれは多くの人の気持ちを代弁してくれているん
だろうなあと思います。

わたしにしてみればそんな20年前と同じようなものを(同じじゃないでしょ
うが)ずっとデザインするのは「才能の限界」だと思っていましたから、製品
により別のカタチができるという事を「見せたかった」わけです。

とにかく「同じ話(デザイン)」を作るのが嫌でした。
しかし思うにその「違うカタチ」がわたしのオリジナルだったかといえば
それも自信がありません。

それまでと違うアイディアの引き出しから取り出しただけで、それが「新し
い」かといえば「異なって」いてもほんとうの新しさとは違うかもしれません。

結局のところ製品と対峙せずに「デザインのチカラを見る人」に違う自分を
プレゼンテーションしたかったにすぎません。

でも思うんです。「あの頃」は必要だったと。 「あの頃」がなければ今の
ような一貫したものは生み出せなかった。

わたし自体は「マンネリ」かもしれませんが、そういう人は少ないという意味
では世間の中で「マニエリズム」ではないんだと思います。

10:39 AM