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July 02, 2009


一輪挿し

丹下健三建築の代表作は代々木室内競技場と、月日がたつほどに思うのです
が、「個人的に好きな作品」と問われたら、わたしは間違いなくこの「静岡放
送・新聞社ビル」と答えるでしょう。

昨日黄昏れ迫るそのビルの「説明」を同行していたI くんに『これは70年ぐら
いにできたんだよ。すごいね。』みたいに話しましたが、今日そのビルが出来
た年をしらべてびっくり1967年。1970年の大阪万国博覧会の前。豊穣の60
年代。

新幹線がすぐ横をすり抜けて行くのでそのビルを知っている人も多いでしょう
し逆に近すぎて存在に気がつかない人もおおいそんなビルでしょう。

立っている場所というか土地は三角角地でけっしていい場所ではありません。

無難を望む人には「難しく」才能ある人には「燃える土地」という感じでしょ
うか。 

その前年にたてられた、これも代表作と言える「山梨文化会館」を10分の一
だけ再現したように感じるのですが、山梨が満開の山桜を投げ入れたおおきな
生け花に例えると、この建物は、まるでそこらへんにあった竹をさりげなく小
脇のなたでちょちょちょとつくった「一輪挿し」の花器のように見えます。

しかもその花器は炭でいぶしたように黒い色をしているので、ますます『わた
しはここでひっそりとしていますよ。』という感じに見える。

丹下さんが「寡作」な建築家であったならこの建物は「傑作」として今以上に
評価されていたように思いますが、多くの作品を作っていた人だからこそでき
た「小品」という気もします。

40年以上も経っているようにはまったく見えません。そしてわたしは何度見
てもこの建物が「気が抜けた」り「朽ちた」印象を受けた事が一度もありませ
ん。建物の持ち主が変わらなかったこと、そして「責任のありか」というか役
割が明確でその外観を美しく保とうという意思と責任感が感じられます。

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09:03 PM