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May 30, 2009


ハイブリッドデザイン

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南政宏さんからインテリアライフスタイルショーに出展をしますという案内を
いただきました。

南さんは、昨年のPdwebコンペの最優秀賞を獲得した人であり、同じ年のコ
クヨデザインコンペでも入賞された次代を担う俊英のデザイナーです。

お知らせ頂いたメールで目に止まったのが彼がデザインした「木馬」です。

木馬とはいえモチーフは「熊」。二匹の色の違う熊があわさってひとつになっ
ています。

ご本人の書かれた説明文にはこうあります。
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これはホッキョクグマとグリズリーをモチーフにした子供用木馬です。
今、地球温暖化の影響で、北極の氷は溶け、ホッキョクグマは住む場所を失い
始めています。
この木馬ではホッキョクグマが、その溶けて割れてしまった氷をたどたどしい
足付きで歩いてゆく姿を現しています。
一方、温暖化の影響でグリズリーの生息可能な緯度が上昇し、ホッキョクグマ
とグリズリーとの間で交配されたハイブリッドベアの生息が確認されていま
す。黒いクマはそのグリズリーを表現したもので、地球温暖化で変化する生息
環境を示しています。
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さっそくわたしは「ハイブリッドベア」を検索しましたが、身体の色は白いけ
れど肩の盛り上がった爪の長いグリズリーの特徴をもった熊が確認された事が
書かれていました。

テーマは深いのですが、見た感じはあくまでも「かわいいコグマ」です。
わたしは南さんのデザインに見る「この感じ」もまた「ハイブリッド」だと
思うのです。

ここで話が少し飛躍しますが、わたしはこのところ新発売がつづいている携帯
電話を紹介するテレビを見ていて、つくづく一般的にはデザインというのがと
てもわかりやすい特徴を備えていなければ「扱ってくれない」のを感じまし
た。その製品の完成度が高くても『これは成熟したデザインですね。』とか
『納めがすばらしい。』なんていうコメントは短い時間には紹介のことばと
して浮かんできません。

わたしは改めて初代のinforbarが良く出来ていたと思うのです。

それはぱっと見「キャッチー」で「可愛い」。言葉を換えれば「かるーい」文
化を反映しているようにも見える。それでいながらこれまでにデザイナーが
なし得なかったある「壁」を越えている。 つまり「重い」部分がちゃんと
備わっていた訳です。

そのことを「ハイブリッド」という表現するのは、いささか異なるのかもしれ
ませんがわたしはふつう「融合」しないものがなされたという意味で「ハイブ
リッドデザイン」という気がするのです。

そして南さんの「木馬」に話を戻しますが、ここにあるかわいらしさと底に
流れている地球環境への思いというのが、受け手には「どちらとも」解釈して
かまわない自由さが「ハイブリッドデザイン」だと思うのです。

また「消えて行く生物や生態系への思い」と「新しいものを生み出す」という
気持の「相克」もまた「ハイブリッド」な気がするのです。

南さんのデザインにはもうひとつ「ハイブリッド」があります。
それはグラフィックデザインのセンスも備わっているということです。プロダ
クトとしての完成度とそれを包む説明する世界としてのデザインのチカラが
バランスしているという点です。


02:38 PM