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August 25, 2008


下書き

人類史上最高の書家とも評される王羲之(おうぎし)のお話を、昨日「新日曜
美術館」で放送していました。

その王羲之にあっても「最高」と言われているのが「蘭亭序」という宴の
際にうたわれた詩をまとめた詩集の序文として書かれた「下書き」です。

清書しようとしたが何度こころみても「下書き」を越えるものができなかった
というエピソードが残っているそうです。

ここまでは「受け売り」。ワキウリでもワンジルでも無く。

王羲之は「文武両道」ということばをまさしく体現していた人物です。
高名な政治家であり戦術にたけた武将であり、そして詩をよくする書家です。

「です」「です」なんて書いても実はまったく昨日知った事実ばかりですが。

その王羲之が武将としての役割をはずれて赴任した場所が飢饉で苦しいんで
いることからこころざし半ばであきらめざるをえなくなった最中に開かれた
宴で「おもわず」吐露してしまった心情もそこにはあるそうです。

いやびっくりしました。

「書き損じ」があり字の大きさにもばらつきがあり、いささか行も乱れていて
それがそのまま残されていることに。

もちろん「下書き」ですからそんな「見られる」「見せる」つもりで書いて
いないので、そういう事は当たり前と言えば当たり前ですが、本人からす
れば「乱筆」かもしれないものが、「史上最高の書」とたたえられている
ことがなんだかものすごく「うれしく」思う訳です。

多分それは王羲之という「書けば書ける」人のなしたことを抜きにはこの
書の評価はないんだと思います。

心情と技術との高度な「乱れ」こそがその感動の源なんだと思うのです。

600年前の心模様に感動した日曜の朝でした。

北京故宮 書の名宝展

10:02 AM