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April 21, 2008
東北芸術工科大学

わたしがあっちの世界に召されて(できるだけ遅くお願いしたいのですが)、その
入り口で審査をするえんま様に『おまえは、これまでなにをしてきたのだ?』と
問われた時に『はい、2008年にさくらが満開の山形県にある東北芸術工科大学で
「いい話」をしてきました。』 そう答えられそうです。
おおきな空間に階段状になった座席のならぶ講義室には、大学の学生さんや先生、
関係者や一般の方が200人以上はいらしてくれたと思います。
わたし史上最大の聴衆でありました。 でもその視線や空気はやわらかとやさしさ
に溢れていました。 だから始まる前から「いいお話」を言えるんじゃないかと
予感しておりました。
あえて司会の建築家の竹内さんや一緒に参加したナガオカさんや小野さん長谷川さ
んの事にはふれません。ただただ「自分のこと」について書きますね。
講演会の後で『第一声が「54歳でーす。かるくてすみませーん。」といわれてびっ
くりしました。』とわたしに伝えられた人がいたぐらいですから、その日のわたし
(いつもそんな感じで話してますが)ことさら「軽かった」。
ほんとなら『ヤマガタでーす。まちがえましたアキタでーす。』と言ってはじめた
かったぐらいですから、これでさえ多少緊張していた証であります。
講演にいく数日前にわたしはちょっとした経験とそれによってきめた事がありまし
た。評判になっているものが実際に使ってみるといろんな問題点があって、それが
どれだけ情報を集めても読んでも「その事」に触れられていないという事です。
売る事のシステムを作る側も宣伝する側もみんな『じゃあここは無しという事で』
そういう無言の了解になっていてそれを「のみこむこと」が大人だったり成功する
手だてだということが、なんだが若い人までもが「わかっている」というのはこま
っちゃうわけです。
じゃあなにをどうすべきか考えて「研究所」という事務所の有り様を考えそれを伝
えて行かなくちゃと思ったのです。そして、そういうサンクチャリー(保護区)か
ら遠くはなれて雀やハトのようにデザインを伝えて行こうと思ったわけです。保護
区には美しい鳥達が気持良さそうに「ぴぴぴい」とさえずりますが、わたしは伝書
ハトのように「メッセージ」をふつうの空とふつうの家を結ぶことをしなくてはい
けないと思ったのです。
それでもってそのほんとは「重い」思いをどう人に伝えるのが、より多くの人に伝
わるのかそこで思いついたのが「より軽く話をしよう」という事です。
宅急便のパッケージが「明るくてかるーいデザイン」になっているのは、宅急便を
配る人達が「仕事」である持ち上げたり運んだりの「気持の重さ」を軽減する工夫
だと聞いた事があります。
10キロの重さのものを運ぶのは「どんな外観」でも10キロに変わりはないわけで
すが少なくとも「軽く感じる」「重く感じる」という気持の差は毎日ですからそう
とうにおおきい差です。そこを考えるのが「デザイン」だと思います。
そのデザインすることを支えているのは、才能でありその才能を開花させるのは基
本であり、基本を時代にそわせて成長させるのが日々の研鑽であり、研鑽をより
具体化させるのが、人への関心と思いやる気持だと考えています。
いけませんいけません。軽さがどこかへ飛んで行きました。
つまりわたしの言う事は基本的に「10キロ」いや持つには重いのです。
そういう言葉をもろに話しては、はなから聞く気はしないでしょう。いや「持ちた
くない」でしょう。だからわたしは楽しそうに「えへ」っといいながら10キロを渡
すようにしています。しかしけっして「5キロ」に軽減しようとは思わないのです。
「たのしいデザイン」をわたしはしません。もちろん「たのしい」が本来的にその
製品に求められているのならそうもしますが、たのしく仕事をしてもそれをかたち
にするようにはしないのです。(むかしはしてましたよ)
東北芸術工科大学でお話したことについては、まったくふれないで終わりそうですが
あの日お話して終わりではないのです。
ひとりでもあの日の話を聞いて、このブログやこれまでに雑誌に書いた事を読み返す
人がひとりでも増えてくれればうれしいのです。 生の話を聞いた人にはこの「ブロ
グがしゃべりはじめる」はずです。
ことばの伝書鳩 ならぬ デザインの伝承鳩 アキタ
11:33 AM

