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January 27, 2008


深澤直人さん

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あらためてすごい人と同じ時代に同じ仕事をしているものだと思います。

いつの時代にあってもすごい人がいてそれなりに感じるものだと思いますがわた
しの知る限り深澤さんほど仕事の質と世間の評価を広く高いレベルで得た人をあ
げる事はできません。

プロダクトデザインに関わって30年になりますが、長い間「プロダクトデザイン
界のスター待望論」というのがあって、そういう人を探し出しながら果たせなか
ったようにも思いますが、10年程前から知られるようになった深澤さんの出現
によってやっとその待望論が払拭されたんではないかと思います。

以前『1990年代の日本のプロダクトデザインを当事者として語る事のできる人
はいないのではないか』とブログに書いた事が有りますが、2000年代になった
今深澤さんであれば、高い位置からも横の位置からもその有り様を語る事ができ
る人だと思います。

とはいえ同業者(あまりいい表現ではないですが)のわたしは、ただ単純に『す
ごいすね』『尊敬しちゃいます』といえる程、人格が大きくはないので、その仕
事を見る度に『わー!』じゃなくて『うーむ』という感じで受け止めていますし
そのデザインされたものをどう自分の中で「腑に落ちさせるか」についてただな
らぬ苦心もしております。

そういうわたしがこの文を書こうと思った出来事が数日前にありました。

それはネクストマルニプロジェクトの新作が発表されるという記事を見たのです。
そのブログでは『これまで多くのデザイナーの競作でしたが、今回は深澤さんが
ひとりで・・・・』と書いてあったのですが、新作の中に昔マルニで作られたも
のを「リデザイン(過去の原型をとどめながら今のカタチに直す事)」した製品
があると知って。『それはいいなあ』と感じたからです。

それから、こういう風に「以前は大勢で今回は一人」と書かれてしまうとなにか
一人だけが評価が高くて他の人のデザインが良くなかったかのように受け止めら
れるし「今回デザインをしなかった人」が人知れず傷つくのでフォローしたい気
持もあります。

もっと深い人と人の関係がそこにあるんだと思います。
まずネクストマルニに最初登場した深澤さんのチェアーの原型は吉村順三さんの
有名な軽井沢の別荘にあった椅子にあったと感じています。(その事を確認する
ために「d」を調べましたが、わたしの手もとにはない「d」創刊号の「ふつう」
に書かれ文書にそれられていた写真だったと思います)

「リデザイン」というか過去になされた人物への敬意を感じたのです。そして
今回の「リデザイン」で、わたしが思っていた事がなにか証明されたように感じ
ています。

無印良品の少しふつうのチェアーよりも幅広につくられた椅子も、名前はあかさ
れていませんが、深澤さんの手によるもので、マルニで作られているのかもしれ
ません。

単純に「ビジネス」としてメーカーと向き合うのではなくて「相手の事情」とい
うものにまで配慮があるんではないか。その事が「次のプロジェクトの時におね
がいしたい」そういう気持にメーカーを動かす付き合い方がそこにあると思いま
す。

それはマルニに限らず、日本の携帯ならずプロダクトデザインにもおおきな影響
をあたえた「au デザインプロジェクト」でのINFORBARですが、その後も「NE
ON」をデザインし、INFORBAR2に継承、継続したauとの関係も同様です。

『もう、あの人とは関わりたくない』といわれるのでなく『作るのは大変だった
けれど時間が経つ程、やってよかった』そうメーカーに思われる力があればこそ
だと思います。

いやはやすごい人です。

まあこう言う事を書けるようになったわたしにわたしがほっとしております。

つまるところ日本のデザインをより良い方に導く為になにをすべきか、そして地
球規模で「プロダクトデザイン」はどうあるべきかそこに立脚した視点でものを
考え、行動すべきであって、わたしも少しはお役に立てるようになにをすべきか
そういう事が大事で、その事の先を歩いている人に敬意をはらわなければいけな
いと「少し」思えるようになったのです。

12:55 PM