『講演会のタイトルはどうしますか?』と聞かれてわたしは即座に『デザインの
初心にしますか。』と提案して2月4日の大阪市立デザイン教育研究所での講演会
のタイトルが決まった。
「デザインの初心」はlong life design [d]に2007年の1月号から連載されていた
自身のエッセーのタイトルである。
初心という言葉にはふしぎなチカラがある。「初心」と聞くと背筋がのびるのよ
うなまさにものごとのスタートラインに立ったような緊張感とはれやかさがある。
さらにいえば「初(うぶ)」という言葉もすてきだ。
良いものは新鮮なおどろきを見る人使う人に与え続ける。
わたしはこの連載をはじめるにあたって文中に「流行」や「時勢」を書かない事
を決めていた。いつ見てもどこで見ても文中に書かれている事が、過去ではなく
て「今」の事と読む人が感じてくれる事を願ったからだ。
初心に時間はない。どんなに長い経験を積んでも「初心」はつねにそこに存在す
る。
デザインはつねに後から出てくるものに更新されつづける。新しい素材新しい技
術新しい感性によってそこにとどまる事は出来ない。
初心というのは「自分の初心が生まれた時に固執」することではない。
新しいモノに対して常に新鮮な感動とモチベーションを持てる事こそが「初心を
忘れない姿勢」だといえる。
写真の「経験」冒頭でわたしはこう書いている。
『これから経験する事のためにスケッチブックの一枚目のような真白い紙を用意
していたいのです。』


