いまですね「経時変化」というものに興味があるわけです。
長い間に使う人の手によって独特の「味」が生まれるそういう製品や素材に
ぐんぐんと惹かれている訳です。
それは自分自身がだいぶ「経時変化」してきているというのが背景にあるか
もしれません。
わたしはtsutsuをデザインするにあたって想像したのが「べこべこになった
ステンレス製の円筒形の物体」でした。
もちろんすっきりなんの傷もないのが最高ですが、何十年も使い込まれて
いろんな場面でついたへこみや傷もまた味になり愛着に繋がるのではないか
という事です。
わたしが今愛用しているジーンズは、神戸で買い求めたキャピタル (Kapital)
というブランドのものですが、2年前だったかに買ったものが、やっと今す
こし色が落ちて来てひげと呼ばれるしわの部分が白くなってきました。
さらに書けばよく持ちあるている大と小のトートバッグは京都の信三郎帆布
店のものですが、これもそう簡単に「味」はでません。毎日のように使って
やっと2年ですこしへたり色が薄れて来た。
そういえば昔から欲しいものに「山ぶどうのつるで編んだカゴ」があります。
入手の難しい希少な山ぶどうのものはちょっとしたかごであっても高価です。
しかしそれは5年10年どころか100年後に民芸館に展示されるぐらいの耐久
性をもっています。
つまり経時変化はそう簡単に「味」を出せないぐらい頑丈なものがであり、
長い歳月をかけて使われてやっと使い手の「持ち物」になるという有り様を
さしていると思うわけです。つまり風合いは「ごほうび」みたいなものです。
数年で壊れてしまう製品(商品)には「経時変化」という勲章は与えてもら
えない。
ここに「興味がある」と書くには背景があるし単に興味で終わらせるつもり
もありません。「経時変化」の楽しめるそういう製品を生み出すべく動き出
しているそういう序章をここに記した次第です。


