Archive of December 2020
December 17, 2020
環境
今朝Facebookで滋賀県立大学の南さんとやりとりをするなかで、南さ
んが、数年前にわたしが黒板に書いたこの写真を送ってくれました。
こんな波打った文字で真面目な事を書かれても困る気がしますが、今世
間の置かれた状況から、あらためてこの言葉が自分にもひびきます。
「仕事というのは、職場に来るまでになされるものであって、その気持
ちを促すために職場がある。」という解釈も可能です。
ようは、24時間が勉強であり仕事であるという考えがわたしの根底にあ
るわけです。
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この黒板の文章は意外と多岐な意味合いと解釈が可能な気がします。
10:19 AM
December 16, 2020
デザインをしたくなるデザイン
最近はイタリアの静物画家「モランディ」が面白と思ってモランディ風な
絵を描いていますが、元々は3Dで描いたものを見ていて『なんかモラン
ディみたいだな。』と感じたところがスタートです。
調べてみるとモランディには水彩で描いた風景画もあったりするのですが、
風景と静物の境界はとても曖昧で、風景も静物に見えてくるから不思議で
す。わたしも街を歩いていて「モランディ的」というか次第に風景と物体
の差異が曖昧になってきています。
ようはモランディという「目」を得た事によって感受性にある種の変化が
生まれていると思うわけです。
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思うんですが、最近のわたしの絵や3Dを見ていて『自分でも描けそう。』
と感じてスケッチを始めた人がいるかもしれないと想像したりします。
それはもちろん「簡単な事」に見えるからですが、やってみると案外に描
けなかったりします。
しかし「描けそう」と思う気持ちと「描きたくなる気持ち」というのは、
紙一重というか大事なイノベーティブのモチベーションだと思います。
まずもって最初に「難しそう」と感じたら人はチャレンジする気持ちが
湧きません。「解決の糸口」と「ほころび」というのも紙一重です。
人はほころびを見つけると引っ張りたくなる。分解したくなる。その分
解したい気持ちが新しいものを生み出すモチーフ(動機)になるように
思います。
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わたしは1980年に最初にニューヨーク近代美術館(MoMA)に行った時
にそこに永久展示品として選ばれている製品をいくつか見ましたが、そ
こに並んでいるものがあまりにもシンプルである事に驚きました。
その事が、今のわたしのデザインの原点です。
ようは「できそうなデザイン」に思えもしましたし、そういうものが残
るものでもあるという「真理」を得たように思ったからです。
スケッチをしたくなるようなスケッチ。デザインをしたくなるようなデ
ザイン。
秋田道夫
2020/12/16
9:32 AM
December 15, 2020
片付ける
今年も滋賀県立大学の生活デザイン科で特別講義と講評をします。
テーマは「片付ける」。
滋賀県立大学では毎年課題のテーマを変えていますが、ポイントは「コン
テンポラリー(今時)」「リアリティー(親密)」「ポトフォリオ(映え)
」です。
要は今現在の事をリアリティーを持って課題にあたれてその結果が入社試
験の際に持っていく「作品集」を充実されるモノになる事です。
まことに実践的なテーマです。
しかし2年前にちょっと変えた事があります。それは「つぼ押し」という
わたしの年齢になると「リアリティー」があるのですが、まだ若い学生の
みなさんには「必要ないもの」でした。
お父さんお母さんやおじいちゃんおばあちゃんに使ってもらえるものを考
えるという事によって「客観的でやさしい目線」というのが、その課題を
どうも価値あるモノにしたようで、担当教員である南さんも「良い課題」
として印象に残ったようですし、作品もすばらしい出来栄えだったので、
江口海里さんの「頁(ページ)ギャラリー」でも作品展を開いたぐらいで
す。さて今年はどんな作品を見られるのかとても楽しみです。
5:13 PM
December 3, 2020
滋味
先日は、古い食器棚の中にある様子を描いてみましたが、今回は漆喰の
壁の前にある「風情」を描いてみました。
普通の3Dのレンダリングではみられない表現のような気がします。
「空気を再現する」というのでしょうか、岸田劉生の静物がのようでも
ありイタリアの有名な画家ジョルジョ・モランディの意図的に平面化さ
れた静物画のようでもあります。たぶんフォトショップでもっと加工す
ればさらにそんな風情になるかなと思います。
いったいわたしはどこへ行こうとしているかしらね。
5:52 PM
December 1, 2020
陰翳礼讃
今日事務所に近くにある素敵なセレクトショップに行きました。
元々は、吉祥寺に店舗あった有名なお店でしたが、数年前に今の場所に
引っ越されました。置かれている製品のセンスの良さはもとより、置か
れたものが映えるしつらえがそこにあります。
改めてなぜセンスよく感じるのかを考えてみました。
そのお店は、半地下にあって照明も暗い。使われている什器も深い色の
ビンテージの家具だったりします。つまり独特の雰囲気はその暗さにあ
ると思った訳です。
わたし日頃は、3Dスケッチの背景は「白」が多いのですが、それは製品
にスポットが当たるようにという事と「印刷した時にインクの使用量が
少なくて済む」というまことにセコい理由もあったりするのですが、プ
リントアウトしないなら背景の濃さ(暗さ)は関係ないと思って「暗い
シチュエーション」で描いてみました。
ちょっと「岸田劉生」っぽい雰囲気です。まさに谷崎潤一郎の陰影礼賛
の世界観に通じるものがあります。
もちろんどんな「製品」を描くのかにもよりますが、時々はこういう
表現もありではないでしょうか。
1:49 PM