Archive of August 2020

August 22, 2020


人は今にしか生きられない

いい大人が『コンプレックスないんですよね。』と書いたりすると実際

にあってもなくても「それを語る事自体」がなにかタブーのような気も

します。

思うんですが、本人がどう感じているかとは関係なく「コンプレックス

もっているかいないか」を判断されてしまってその「一般的な判断基準」

はなかなか崩せません。というか、ようは他人事なので「あろうがなか

ろうがどうでも良くて」「自分の思う範疇に人はとどまっていて欲しい」

わけです。

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なぜこんな回りくどい前置きをしたかと言えば、あるサイトで「父親か

ら言われた『お前はやればできる。』という言葉が自分の支えだった。」

というすでに50最近い人の話を読んだからです。

一見すると『お前はやればできる。』という言葉は応援のメッセージに

聞こえますが、良く考えると『今はそう出来てはいない。』という判断

を相手(この場合お父さんですが)はしているという事にもなります。

そんな批判と応援がないまぜになった言葉の代わりに『今のままで十分

生活できるよ。』とか『自分が子供の時より優秀だ。』とか『友達多い

からいいんじゃない。』とか『親思いで感謝しているよ。』といくらで

も「人としての価値」を認める言葉はあるんじゃないかなと思うんです。

そうでないと「今が出来ていない悲しい」時間になってしまいます。

なぜ最初にコンプレックスのお話が「やればできる」と結びついたかと

言えば、言葉の使い方によって相手に不要な劣等感を植え付けかねない

という事で、それが親だとちょっと根が深くなるなあと思ったからです。

大人というか学校や会社を通して「自分の努力じゃ歯が立たない人物」

に必ず会うわけで、その事実を知っていながら『やればできる。』とは

なかなか言いにくくなると思うんですが、こどもに言ったつもりが実は

本人もいまだに見えない成果を追いかけていたのかもしれないですね。


秋田道夫

2020/8/22

4:20 PM

August 12, 2020


鳳凰堂

ぼんやり鳳凰堂.jpg

残暑お見舞い申し上げます。

残暑ではなく「盛夏お見舞い」という方がぴったりの今日この頃ですが。

去年の7月末に、桂離宮と宇治の平等院を観て来ましたが、京都はびしび

しの暑さで、40度近い中で観る名刹というのは想定外でした。

まあ、建築自体がその暑さに「びっくり」していると思います。

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絵を描くというのは楽しいものですが、ちよっと切ない部分もあります。

どういう事かと言えば描くためには対象を観察するわけですが、良く見

ていると知りたく無い(?)ものまで見えてきます。

絵は10円玉に描かれている、シンメトリーで有名な「鳳凰堂」ですが、

名前の通り空想の動物「鳳凰」を模した形状になっていて、本堂の左右

にはちいさな閣と廊下が広がっていてそれを上から見ると鳳凰の羽に見

えるわけです。ちなみに本堂の後ろには、尻尾にあたる廊下があって名

前もずばり「翼廊」と「尾廊」と名付けられています。

しかしその「翼廊」は良く見ると「本堂」と繋がっていないんですね。

しかも廊下らしき部分は天井高が1メートルぐらいしかなく到底人が歩け

ません。角にある「閣」にも入れない。その翼廊に登るための階段もあ

りません。ようは「飾り」なんですね。非常に手間と費用のかかった飾

りです。

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ここで終わっても良いのですがさらに面白いのは鳳凰堂の描かれた「10

円玉」なんですが、あれだけ小さく省略されている部分もありますが、

きっちり「左右の廊下は本体とは繋がっていない」事が強調されて描か

れて(彫られて)いる事に気がつくのです。

10円玉より何倍も大きなわたしの絵が曖昧で繋がっているように見える

のに。言い訳をすると実際に見るとパース(遠近感)がかかって奥にあ

る廊下は本堂と繋がって見えます。きっとそれも計算の内だと思います。

秋田道夫

2020/8/12

11:34 AM

August 7, 2020


流れ

https://my-best.com/2871

最近のわたしの話題と言えばこのマドラーかルーペでしょうか。

「たなごころ」というか手に収まる(収まらないけれど)ようなこぶり

な製品達です。

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そう言えば、10年前に2000年代を代表するプロダクトはなにかという事

を書きましたが、その時に選んだのは「体温計と大根おろしと加湿器」

だったんですね。とてもありふれた昔からある製品を有名なデザイナー

達のデザイン力で新たな魅力を吹き込んだわけです。

2000年代はわたしが知る限りこれまででもっと「プロダクトデザイン」

という仕事にスポットライトが当たった時期ですから、先の三つだけで

なくいろいろなものを「代表作」として選ぶ人がいてもおかしくはあり

ません。

それを考えるとリーマンショック以降である、2010年代に代表作を選ぶ

としたらなにを選ぶかといえばバルミューダーの扇風機とトースターが

浮かぶのですが、逆に言えば、それ以外の製品が出てこないという感じ

です。

わたしが2010年代の終盤にマドラーやルーペという身の回りの製品を

デザインしているのは、偶然でも特異でもなく「世の流れ」なのかなと

思ったりします。

9:29 AM

August 1, 2020


公共の意味

大阪に行ってきましたが、新型の信号機の設置が加速していました。

信号機をデザインした当人だからの意識でしょうが、景色が変わって

来たように思います。

2年前の2018年に新型信号機が最初に導入されたのは大阪でした。

導入の理由で考えられるのは旧来のランプ式信号機が府内に多く残っ

ていて、LED化を推進するには低コストの新型を導入するのが合理的

だったと考えられます。

実はそのタイミングで大阪が大きく変わった事があります。それは、

大阪市地下鉄が民営化されて「大阪メトロ」として発足した年でもあ

ります。

メトロの「M」をループ状にしたシンボルマークは日本デザインセン

ターの色部さんのデザインだという事ですが明快で素敵なマークです、

地下鉄の入り口に掲げられた新ロゴはそれだけで「責任感」「安心感」

を表意しているようです。

新しい地下鉄は駅自体のデザインにも力を入れていて御堂筋線中津駅

梅田駅、心斎橋駅、動物園前駅、中央線堺筋本町駅の5駅の改修にあた

って奥山さんが監修しているそうで、まず先日中津駅という駅構内の

利用が始まりました。その空間は新しい。

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くしくもその新しい地下空間の有り様と、地上に上がった時に見える

新型信号機のフォルムが「呼応」しているように感じたのです。

「薄過ぎ」「軽過ぎ」という声が導入当初ありましたが、2年が経過し

て大阪メトロの新規構想が見える形になってきて、時代が変わってい

る実感がそこに暮らす人たちにも生まれてきている事でしょう。

その「感性」が根付いた時に新しい信号機に込められた感性が根付く

という手応えを感じた大阪行でした。

秋田道夫

2020/8/1

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11:06 AM