Archive of March 2020

March 29, 2020


潮流

最近.png

トレンドという言葉よりは「潮流」という言葉の方がふさわしいなあと

思いました。

わたしは自分が決めた道がいつのまにか、今の時代が作り出す道とずれ

ているのかなと感じていました。

実際ある時からデザインメディアに取り上げられなくなり、デザイナー

が有名になるプロセスからは離れているのを感じていました。

「潮目」が変わったのかなと思ったのが、5年前に特許庁の意匠審議官

の採用試験問題に自分の名前が掲載されているのを見出した時です。

たぶん10年前なら目にする事のできない過去の試験問題が今ではPDF

で開示される時代になっていたのです。

「声にならない声がある」「文字になっていない事柄がある」そうい

う「メタ情報」というものの存在を意識するきっかけでもありました。

言ってみれば「見えることだけでは本当はわからない」という事だと

思いますが、次第にそれだけではなく時代の潮流がわたしメディアも

「含めて」流れている事を自覚しました。

_

『流れに棹差していたわけではなく棹差す人にあらがっていた。』

それが今の感想です。もっと時代の潮流はおおきく力強く抵抗は

難しい。

3:07 PM

March 26, 2020


気にならないわけではないけれど

わたしはある時から「自分ではいかんともできない事について書き残さ

ない事にしました。

ある時、「気」という漢字がつく言葉には、その自分ではいかんともし

難い事柄が色々ある事に気がつきました。

「景気」「天気」「元気(その反対の言葉)」ほんと「気」というのは

「もやもや」する言葉がいっぱいあります。

_

景気といえば、一般的には就職氷河期1993年から2004年までの11

を指すようですが(長い。)自分が就職をした1975年1977

年の三年間も相当な就職氷河期でした。

実力的に差がなくても、景気によってこんなに就職先にに差がつくの

かを身を以て経験しました。

最近富に出生率が減っているという話が出ますが、実はその就職氷河

期と関係していて安定した仕事につけなかった人たちが多く「結婚」

して「子育て」という事がし難い事につながっていると聞くと深刻で

す。

_

みなさんが知っているわたしと年齢が近い人たちは、その「三年間」

か後ろかの世代なんです。

そしてわたしの一回り下の世代(1965年)には、多くの有名デザイ

ナーが活躍していますが、その世代は就職の時期まさにバブル真っ盛

りで、大量に大企業がデザイナーを採用した時代なのです。

「才能の年代格差(?)」を語る人がいるならば、それは景気の動向

年表と並べて論じないと正確ではないのかなと思います。

わたしが「有名」という、ある意味子供じみた事柄に拘泥してきたの

「スタートラインに立てなかった世代の無念」を背負っているとい

う気持ちもいくばくかはあるのです。

_

ね。こんな景気の良くない話をされても困るでしょ。ゆえに書かない。


秋田道夫

2020/3/25

4:46 PM

March 22, 2020


おくる言葉

INCLINE-grey.jpg

新しいホームページに過去デザインした製品を紹介するためにそれ

ぞれのメーカーに掲載の許諾申請をスタッフの方がして下さってい

ます。

うれしい事に、快諾の趣旨と温かい返事が戻って来ていますが、あ

るメーカーからは、返信が戻って来ませんでした。

調べてみると会社が業務をすでに辞めたれた事が判明しました。

それがこのソファー「INCLINE」を製造販売していたAIDECでした。

_

この「INCLINE」が発売されたのが、2007年でした。

当時ショールームがあった吉村順三さん設計青山タワービルに併設

された元音楽ホールでお披露目されましたが、大きなショールーム

が来客で満員だった事を思いだします。なにせ大学の設計者が吉村

さんだったので感慨深いものがありました。

_

写真は、葉山に2003年に完成した「神奈川県立美術館 葉山館」のロ

ビーを利用して撮影されたものです。

この写真がオープンされて半年後に現地を訪れましたが、当たり前

ですが、ソファーはそこにはなくにわかにはここで撮影された事を

気づくのも難しい感じでした。それだけこの「INCLINE」の存在感

が強い事を再認識もしました。

_

デザインは発売の前年に一年近くをかけて行いましたが、製品化の

最終段階で、開発の部長さんと担当の方と3人で富山までソファー

を作っている工場と脚部を作っているダイキャストメーカーを訪問

した事も懐かしい思い出です。

今更なお話をすると、脚部のダイキャストはサイドの部分を「ぴか

ぴか」にしたかっんですね。わたしは。

しかし、工場にそういう仕上げを出来る機械が無いと知りわたしは

あっさりと「諦め」ました。

その5年後だった富山デザインセンターの招聘で富山で講演会をす

る事になった時に、その時に対応してくれた専務さんがその会に参

加して下さって空港までクルマで送ってもらいました。

車中でソファーの話題が出て『あの時の打ち合せがずっと頭に残っ

ていてアキタさんが「出来ないですか。じゃあ辞めときましょう。」

とあっさり引き下がられた事が逆に自分の無念が増してしまいまし

た。そして研磨を出来る機械を導入しました。』と言われたのには

びっくりしました。今更「ぴかぴか」には変更出来ませんでしたが、

そんな事もあるものだと感慨深いものがありました。

_

実は、一年前にこの製品を廃盤にすることのお知らせが届きました。

残念ではありますが、12年間売り続けてくれていた事に感謝する気

持ちが先でした。

ただお披露目の席で当時の社長さんが『これは会社のリファレンス

として長く残る製品だと思います。』と言って下さった事を思いだし

ます。そして高級家具を取り扱うAIDECの中でも長く最高級品の位

置づけを占めていました。今にして見れば、その時すでに会社を清

算す段階だったのだと思います。それを知ってすこしは肩の荷が下

りたわたしがいる事も確かです。

秋田道夫

2020/3/23

6:31 PM

March 10, 2020


デザイニング

prima.jpg

今日、German design awardのカタログが届きました。

『もうデザイン賞は良いんじゃなかなと。』と言って『最後にもう一

回だけ。』というお話でIF賞にエントリーしたルーペが受賞して、そ

れならば、もう一度と出した香港のデザイン賞で銀賞を受賞してその

結果を見た、German design awardの事務局からエントリー依頼

が来て、こうやって最高賞のGoldを受賞したんです。

さらに、Red dot design awardで今度はアタゴの小型センサーが、

最高賞のBest of the Bestを受賞したんです。(ちなみにルーペは

出していませんでした。)

「出せば獲れる」というなんとも景気の良い話です。

_

海外のデザイン賞を受賞して改めて思うのは、過去にデザインした製

品たちです。こういう仕組みが容易になったのは、ほんの10年前です。

わたしの中では受賞作と同様にデザインをしていても機会に恵まれな

かった。しかし逆に言えばわたしの中で「等価」である事の確認が

できた事は大きな進歩です。

ちなみに今年の賞には、なにもエントリーしていませんがその事は、

受賞の意味をもう一度考えるよい機会だと受け止めています。

秋田道夫

2020/3/20

10:52 AM

March 9, 2020


クオリティ

220パッケージ.jpg

ワイン.jpeg

昨日の夕方放送された情報バラエティー番組「所さんのお届け物です」で

2月の初旬に開催されたギフトショーで目立っていた製品をいくつか紹介

していましたが、そのうちの一つがこのヴァンテックの「220mm」とい

うマドラーです。この製品がユニークなのは、触媒技術を使って飲み物の

雑味を除去してすっきりとした飲みくちになることです。

スタジオでテストしてその効果が伝わったのか、高価な製品であるにもか

かわらず、放送直後から問い合わせと注文が殺到してネットショップから

製品が消えていきました。わたしの検索結果にもヴァンテックがどんどん

並んでいきました。

_

ステンレスタンブラー「78mm」もヴァンテックの製品ですが、もともと

これは、滋賀で様々な製品を開発している滋賀県立大学の先生南政宏さん

が、ヴァンテックから相談を受けて、プロダクトデザインの部分をわたし

が担当していますが、製品のパッケージやwebサイト、広告に使う様々な

popも南さんのプロデュースによるものです。

わたしは以前から南さんの事を「グラフィックとプロダクト両方のデザイ

ンが高い次元で融合しているハイブリットデザイナー」と呼んでいますが、

この「220mm」「78mm」にはそのチカラが遺憾無く発揮されています。

ロゴのデザイン、パッケージや取扱説明書そして撮影の際に用いられる酒

の瓶のラベルデザインなど出てくるたびに目を見張る完成度です。

わたしはこうやって話題になっても「隅から隅までまったく手を抜かない

その高い完成度」があるので、まったくその事をしっかり受け止めること

ができます。

秋田道夫

2020/3/9

9:07 AM

March 2, 2020


今再びのエキサイトイズムインタビュー

エキサイトイズム.png

http://media.excite.co.jp/ism/135/?fbclid=IwAR1EIv9krMT5YNNid44xOB8gCQlPEgAV63_UiWXqHfLUL35qdmGlmqbbXDY

今から11年前のインタビューです。インタビューを受けたのは、今日の

ような冬の寒い日でした。場所は池尻大橋の目黒川そばにあるスタジオ

でした。前年にリーマンショックがあり景気も寒くみんなの気持ちも落

ちていた時期でもありました。

特集のタイトルは「トップランナーに迫る」今なら大迫傑さんですね。

しかしみなさんも思うように、わたしがトップランナーだったためしは

一度もありません。

インタビューの杉江さんもその事を重々承知で、文中にはある意味当時

ありがちだった「日本を代表する」なんて世辞な修飾語は、どこにもあ

りません。しかしながら紹介文にある「長年プロダクトデザイナーの王

道を貫いてきた」というのはわたしの有り様をよく知ってくださってい

るとても正鵠を得た表現だと思います。

そしてわたしは10年後の今も同じようなスタンスで仕事を続けています。

わたしの意識ではトップランナーでも二番手のランナーでもありません。

最後尾を走りながら集団全体のタイムアップをしていくのが「役割」だ

と思っています。

最後に写真を二枚。上はエキサイトイズムのもの下は2017年にWebCG

という自動車雑誌のインタビューのもの。

この間には8年の歳月が流れていますが、どちらにも80mmが置かれて

いることもあってふたつには「同じ空気」がそこにあります。たぶん

これからも。

追記

大事な事を書き忘れていました。

実はエキサイトイズムは昨年でサービスを停止しました。

今でもこのインタビューを残してくれたエキサイトに感謝しています。

実はこのエキサイトイズムか「デザイン家電ブーム」をネットで牽引

していたサイトでもあります。

そういった場所で、実質ブームが終息したタイミングでプロダクトデ

ザインの役割を語った意義と感慨は深いものがありました。

pic08.jpg

img_sub_interview3-1.jpg


5:54 PM

March 1, 2020


描くという事

押入れの奥をごそごそ探していたらえらく古びたスケッチが出てきました。

おそらく大学生の3年ごろに描いたものだと思います。

思うにわたしが一番絵が上手かったのは大学に合格した20歳の頃だと思い

ます。さしたる根拠はありませんが、「描きこむ」という事に何の躊躇も

遠慮もありませんでした。

ただ描くほどに限界も感じるわけですが、わたしが目指しているのは工業

デザイナーでたしかに今よりは絵の技量を問われていたように思いますが

さりとて大事なのは思考でありアイディアであり実現力だという事はすで

に感じていました。ようするに「新たな要素」という液体が混じる混む寸

前を描き止めたのが、このスケッチかなと思います。

たぶんこれは建築雑誌に載っていた写真を見ながらの模写なのである意味

時間をかけて丁寧に描けば「それ風」にはなるものです。

実はこの絵で自分が感心した(?)のは、左に描かれた筆記体の英文です。

読み難いものですが「of」がやたらに流麗です。

こういう描き方も字の書き方も別に習ったわけでも課題に出たわけでもあ

りません。ようは「燃えていた」だけです。

_

『なんだ自慢か。』そう思われるのはしょうがありません。たしかに自慢

ですから。ただ言えるのは「そこで止まってはいない」という事です。

すばらしい製品は「絵がうまく描けない」のですから。

どういう事かといえば「ただの円筒」だったり「ただの矩形」のものが、

すばらしいデザインと言われているのです。

それらは「絵にして絵になる」ものではありません。

写真だったら風景や「光の演出」があるので、「様になる」のですが、

絵になるのは、この絵のように古びていて物の濃淡やくぼみがあってはじ

めて丹念に描いても「様になる」のです。

_

下の絵は、数年前にiPad上で描いた物ですが、いかに「雑」でありながら

ものというのは「光の演出」でできているかがわかるかと思って添付しま

した。

秋田道夫

2020/3/1

スケッチ.jpg

クルマ.jpg

11:21 AM