October 30, 2020


課題を楽しむ

今日は、駒場にあるビンテージショップ「グラフィオ・ビューロスタイル」

に顔を出しました。

これまでイタリアの昔の製品を買ったりしているのですが、ショップのオ

ナーから『最近秋田さんの製品を集めているんですよ。』と嬉しいお話。

そして、写真のソニーのMDラックもその候補のようですが、中々(中古)

に出てこないそうです。

なにせ24年前(1996年の「アクセサリー」です。

_

この製品にはちょっとした思い出があって、これを作ってくれメーカーの

担当者がタケダデザインの高地さんでした。この仕事を一緒にしてから10

年後にタケダデザインプロジェトの誕生につながったという意味でもキー

になる製品です。

_


今ではすっかり聞かなくなったMD(ミニディスク)というメディアですが、

当時の企画の内容は『売り出し中のMD(メディア)を盛り上げるために

「MDを集めたくなるような」周辺製品を作りたい。』といったようなも

のだったと思います。

それで、一ダース用のコンパクトケースと、この収納ラックをデザイン

ました。

今更に思うのですが、依頼内容からどうしてここまでかたちが飛躍する

か自分でもわかりません。やりすぎですね。

_

学校でいろいろな課題を出しますが、いつも思うのはそれを学生の皆さん

がどこまで課題を「過大解釈」をして広げて「楽しんでもらえるか」とい

うのが興味があるわけです。

そこそこではなく「行っちゃう」事です。

こんな製品ですか「行っちゃう」わたしはそう思います。


秋田道夫 2020/10/30


 MDラック.jpg

12:47 PM

October 22, 2020


テープカッター

テープカッター2つ.jpg

10:04 AM

October 19, 2020


軽やかである事

世の中には、語られて当然に思えるのになぜか語られていない事という

ものがありますが、プロダクトデザインの世界で言えば「プロダクトデ

ザイナーは絵が上手いのか?」というまったく素朴な疑問に対してあま

り語られません。実は、この仕事を長く続けているわたしにも他のデザ

イナーの絵の技量についてはわかりません。

一番わかりやすい例で言えば、日本のプロダクトデザイナーの代表であ

る柳宗理さんですが製品について描かれたスケッチを一枚も見た事があ

りません。ただ言えるのは、柳さんが東京芸大の油絵科出身の方なので

「絵が描けないはずがない」という事です。

_

プロダクトデザイナーを目指すには美術系大学にあるデザイン科に進学

するか、工学系の大学にある工業デザイン科に進学するか、専門学校に

ある工業デザイン科に進むのが定石ですが、美術系大学の最難関である

東京芸大では過去から現在に至るまで、「石膏デッサン」については高

いレベルで求められているので、東京芸大を出た人はほぼ自動的に石膏

デッサンは上手いと思っています。

しかし、それはあくまでも「石膏デッサン」の上手さであって「絵全体

が上手いか」という事に対しては絶対の正解かというとこれがまた微妙

です。

例えば野球選手がサッカーや器械体操が上手いとも限らない事と「少し」

似ています。運動神経にも様々な種類があります。「デザイン」という

のはあえて言えば「トライアスロン」な部分があって、表現力プラス発

想力プラス学習能力など様々な能力が「渾然一体」となって「デザイン

力」に至ります。

_

そういった意味では「石膏デッサンは大学に入るための技能の一つ」な

んですが、同様に入試で課せられる色彩構成や立体構成というものより

も配点の加減はともかく「技量の差が見てわかりやすい」のが石膏デッ

サンなので、ある意味「花形課題」であり続けています。

さらに言えば、石膏デッサンはデザイン科だけで無く油絵科・彫刻科・

日本画科など美術科全体で実施されるのがこのでもあるので、ますます

その重要度が強化されます。

その「花形課題」の需要に答えるべく美術予備校の合格者であるOBの

技術伝承も長年続いていてますます技術は蓄積されています。

わたしも一年浪人して美術予備校で学びましたから、入学当初ほとんど

描けない人が入試直前には見違えるほど上手になっていくのを目の当た

りにしています。

_

しかし一般の大学でもそうでしょうが、いったん合格してしまうとそれ

まで「あんなに一生懸命覚えた」知識を入った瞬間に「霧散」するよう

に、無事試験に合格してしまうと、それまであんなに熱心に描いていた

石膏も静物も自分の記憶から消える人は少なくありません。

そこで本来絵が取り立てて好きではなかった人は、あえて絵を描かなく

なります。絵が好きでも無いのにデザインに進むのかとこれまた素朴な

疑問があるでしょうが「モノ作りが好き」「機械に関心がある」という

人は必ずしも絵の技量に進学理由はありません。

『この人は昔から絵を描くのが好きで子供の頃から上手だったろうな。』

という人をデザイン科の中で感じた経験がほとんどありません。

インタビュー記事では子供の頃から絵を描くのが好きでという話を良く

見ますが、言えるのは学校ではその過去の得手とデザインの課題での結

果に「脈絡が見えない」という事だと思います。

_

実際に大学に入れば「デッサンは得手ではなかった人たちの逆襲(?)」

が始まります。

色彩感覚の優れた人は素敵なポスターを作り、モノ作りが得意だった人

が目を見張るような完成度の高い模型を作ります。

石膏デッサンだけに特化した人は、次第にその存在感を失って行きます。

つまりなぜデザイナーが、絵を見せなくなるかと言えば、それがデザイ

ンの全てではないと知っているからで、今更入試時のデッサンの上手さ

をいうのは「恥ずかしい」というところです。

_

そんな「はずかしい」を越えて自慢をするわけですが、この三枚は大学

時代に描いたものです。

最初の絵は大学に入って間も無くに描いたもので、まだ石膏デッサンの

「呪縛」から離れられない頃の絵です。

二枚目は、3年生の時に収納という課題で描いた「工具箱」です。

三枚目は、4年生の時に写真集を見ながら描いた奈良中宮寺の「菩薩半

跏像」です。

この三枚を通して何が言いたいかと言えば、次第に「面」から「線」に

関心が移行している事です。

いかに少ない線で立体を表現するかが大事な事と考えていました。

「半跏像」のおでこを表現した「あるかないかの細い線」は、今では

再現できません。

_

しっかり時間をかけて写真見たいな絵を描く人は、少なくありませんが

実は「軽やかに線で描く人」にはなかなか出会えません。

多くの場合、描くという事に対して慎重かつ行為が重いのです。

「さらさら」というのが案外に難しい。

大学や予備校の中で大した腕前でなくても一般のレベルからすれば「抜

けて上手い」わけでそれ以上の上手さというのは「過剰品質」です。

それよりは説明するためのスケッチを簡単にすばやく描くという方が価

値があるとわたしは思っていますが、実はクロッキー(短時間で表現す

る」で描くというのは、時間をかけて描きあげる事とは似ていなる行為

です。

四枚目は、15年前に製品になったキャノンの大型BJプリンターの「最初

期」のイメージスケッチを「今」再現したものです。

再現とは言え、当時のスケッチもほぼこのレベルです。しかしこの「退

化」した絵で事が始まって製品になったのです。

馬頭.jpgのサムネール画像

MICHIOAKITAアーカイブポスター.jpg

弥勒菩薩.jpg

BJラフ.jpg

10:45 AM

October 15, 2020


過去の今

御茶ノ水駅から神田に向かって下の坂道があるのですが、以前はその坂

下を右折した先にある神田藪蕎麦に足繁く通っていました。

そこに新しいビルが建ってから気になったのが、玄関ロビーの右にある

ガラスで仕切られた2台分の公衆電話スペースでした。

なぜ気になったかと言えば、そこにこの絵の「兄弟機」が置かれていた

んです。実は、今から20年以上前のお話です。

この絵は、ヨーロッパのカフェやレストランで使用する目的で作られた

簡易型の公衆電話です。

すっかりその事を忘れていたんですが、つい最近かつて家で使われる電

話機が自由に選べるようになって様々な優れたデザインの製品があった

事を思い出した際に『そう言えば、電話機をデザインしたなあ。』と回

顧した次第です。メーカーは国内外の公衆電話を多く生産していたアン

リツです。どういった経緯でその仕事をさせてもらうようになったかと

いう事も記憶にありません。ただわたし自身「大好きなデザイン」だっ

たので、調べてみたら小さく写っている写真を見つけました。

それは海外マーケッティングをされている方の紹介写真でした。

今でもアンリツ本社にあるショールームに飾られているようです。

その小さい写真を元に3Dで再現しました。そうやって置いてもらってい

るという事は、少しはヒットしたのかなと想像します。

 annritu denwa.jpg

5:48 PM

October 12, 2020


80mm物語

「80mm物語」

『80mmが出来ました。』と連絡がありました。およそ一年ぶりです。

『暖かくなったら作ります。』とうかがっていましたが、季節は巡り結

果的には寒くなってからになりました。

このことからもわかるように、見た目はとても「プロダクト製品」その

ものの80mmですが、人の意のままにならないとてもデリケートでヤン

チャな「生き物」なんです。(80mmはわたしのカタチだなと思ってい

ますが、有り様までわたしそのものです)

そんな80mmがいかに生き物かという「いきものがたり」を書こうかと

思います。

80mm最大の特長は、二重構造で出来ている事です。

その事によって、熱いお茶を入れても持って熱くないという機能を生み

出しているわけです。

ちなみに二重になったのは「結果論」で、湯飲みの内部の角に茶渋が付

くのが嫌なので「底を大きく丸くしたい」という事が結果的に「二重」

になったのです。

しかしその大きなメリットと引き換えに、大きなデメリットも生まれま

した。それは「作るのが難しい」事です。

二重構造を可能にしているのは「どぶ漬け」という技法です。

どういう事かと言えば、シャブシャブに薄めた陶土を型に流し込んで、

型内部の内と外に陶土が付着して厚みを増したら、それ以外の陶土液を

排泥して乾燥させて型から抜き取るのです。

今回暖かくなってからと言われたのは、型抜きの際乾燥が大事なポイン

であるからです。一年の中で「適切」な時期が半分にも満たない事に

なります。

同じ手法を使った他の製品ではたやすく型から取り出せるのですが、

80mmは一部が型に残って「破れ」たりします。

ただでさえ難しいのにその「どぶ漬け」という技法をやっているメーカ

がどんどん無くなっています。

_

瀬戸物の発祥の地である瀬戸市ですが、海外の安い製品が大量に国内に

回るようになって、昭和40年代最盛期だった頃に比べて半分まで工場

が減っています。(今ではもっと減っているでしょうね)

そういう時代の変化を敏感に感じ取って「デザイン性が高く高付加価値

製品を作り出そう」と一念発起して大橋さんのお兄さんが、1973年に

立ち上げたのが、セラミックジャパンです。

くしくも1973年は、瀬戸市に近い愛知県立芸大にわたしが入学した年で

あります。

ちなみにその年は石油ショックが起きて「トイレットペーパーパニック」

が起きた年です。きっと創業当時、大変だったと思います。

セラミックジャパンには、トネリコやネンドをはじめ有名なデザイナー

製品が数多く存在しますが、代表的な製品には小松誠さんデザインの

紙をくしゃくしゃっとした感じを再現した「クリンクルシリーズ」があ

ります。 


80mmが誕生したのは2004年の事ですが実際に製品化されたのは2006

です。厳密にいえば製品化というよりは「量産化」でした。というの

時イオン向の冷蔵庫と洗濯機をデザインしていてそのキャンペーン

としてなにか購入者に「プレゼント」をしたいという企画の方のお話が

あって『こんなものをデザインしています。』とお見せしたのが80mm

でした。

話はとんとん拍子に進んで、実際かたちになったわけですが、その時に

られたのは2個セットになったものを1000個。2000個の80mmが

生しました。

冷蔵庫も洗濯機も良く売れたので、早々にプレゼント品も消えていきま

した。

自分で売るためのモノもその後お願いして作りましたが、結局「製品」

して独り立ちしないまま立ち消えになりました。 _

その2年後だったでしょうか、一通のメールが届きました。川畑さんと

う方からのもので『80mmを結婚式の引出物として買えないでしょう

か。』という内容でした。

その後、駅前の喫茶店で川畑さんご夫婦とお会いしてお二人の80mm

伺って『それでは、もう一回作ってみましょう。』という事で製品と

て80mmを再び作り始めたわけです。

_

わたしの中では、そのイオンでの成功体験というか2000個を作れたと

いう実績のイメージが残っているものですからどんどん量産されてく

る80mmを「どうさばくか」というエセ商売人メンタルで、皮算用を

しておりました。

その頃ちょうどアフターアワーズの横田さんがお店を始められた頃で

お店で売るものとして80mmを買ってもらったりしました。

実際、売り出したらネットを通して良くれて、最初の「心配」はひと

まず無くなりましたが、今度はぱたっと作れなくなってしまいました。

先にも書きましたが、80mmはセラミックジャパンから「どぶ漬け」

技術に委託された工場で作ってもらっていましたが、あまりにも「80

mm」は成功率が低いわけで、多少製造費を上げてもらてもらっても

やりたくないということがわかりました。

最初に2000個出来たものがその後12年間トータルしてもその2000個

達していません。

良く出来た年でも年間で150個という感じではなかったかと思います。

まさに絶滅危惧種です。

その危惧種に一筋の光が当たったのが、セラミックジャパンの中に新

い工房が出来た事です。そこで難しい「どぶ漬け」の技術で80mm

の型抜きの作業をしてもらえるようになった事です。

しかし他の作業もされている方が、その合間に作ってもらうのでこれ

らもコンスタントにできるようにはなりません。

ここ数年は、京都にある職人.comさんで独占販売(おおげさですが)

してもらっていましたが、あらためて「商業ベース」にはこの80m

mが適していない事を痛感しました。 


今、わたしのECサイトを準備中です。

ようはネット販売のお店を作るわけですが最初の商品をこの80mm

しょうと思っています。(現状ではわたしが手がてた製品をそのEC

サイトで扱うことは考えていません)

さらに申し訳ないお話しですが、値段を3000円(税別)に上げようと

思っています。ふつう値上げの理由は「原材料費の高騰」だったりし

ますが、この場合「ほんとに作れない」という事と、それ以上に言え

るのは「80mmにプライドをプレゼントしたい」といういきものなら

ではの由です。

3000円で80mmが喜ぶかどうかはわかりませんが、ふつうの湯飲み

では考えられない値段です。作家性と量産性の間でしょうか。

秋田道夫

2020/10/12

80mmfusion.jpg

11:07 AM

October 8, 2020


足元デザイン

 yueikatarogu.jpg

https://www.yueicaster.co.jp/products/catalog/yscs/html5.html#page=1

今仕事をさせて頂いているユーエイの新製品のカタログです。

これはキャスター内部に発電システムが組み込まれていてそれを使って

信号が発信されるようになっています。

例えば、工場内部のどこに荷物(台車)があるかを把握できますし、

導線やどれぐらい移動したかを計測してデータを蓄積できるようになる

わけです。

スーパーにあってお客さんがどの売り場に「集まるか」というものも

わかるし、そうなるとどの棚になにを置くのが効率的に売れるかを推測

するよりどころにもなるわけです。

正直これは「仮説力」と「イメージ力」によってどれだけ「化けるか」

わかりません。スマホが誕生した時にこんなに生活を変える事をだれも

予測しなかったように、「足元」から社会を変えるかもしれません。

そういう画期的な新製品なので、カタログのデザインを一新しました。

いろいろな意味で「スマート」です。

秋田道夫

2020/10/8

9:18 AM

October 5, 2020


土鍋

土鍋.jpg

土鍋蓋開き.png

土鍋のシーズンが近づいたからというわけではありませんが、以前触れ

た3Dソフトでdo-nabeを描いてみました。

このソフトなにがすごいかと言えば、円柱の塊を描いて「厚みを3ミリ」

と入力すると、一瞬で塊が3ミリ厚の土鍋に変わります。側面だけで無く

底の厚みも3ミリ、さらに取手の凹み部分にも均等に3ミリの厚みになる

ところがすごいのです。

描くのにかかった時間は、すでにあるものをサイズを気にせず再現した

ので一時間ほどしかかかっていません。おそろしい。

しかもレンダリング(描画)のスピードもすごくて、この品質なら5分

しかかかりません。すごすぎます。

秋田道夫

2020/10/5

9:27 AM

September 29, 2020


「手の切れるような製品」

先週の土曜日に大阪にあるユーエイ(キャスター)本社で講演をさせて

いただきました。

「デザインとはなにか」というテーマでお話をさせていただきましたが、

Zoomを使って九州奈良東京埼玉にある工場や営業所のみなさんにも聴い

ていただきました。

どういうお話をするかという中である文章を教えていただきました。

それは京セラの創業者というか経営の神様といえわれている稲盛和夫さ

んの『製品は手の切れるようなものでなければならない。』という言葉

でした。

実は、この事に思い当たる話があります。

それは会社を辞めて20年も経過した頃に、同じ会社に在籍してた大学の

後輩から聞いた話ですが、すでに会社にいなかったわたしがどういう人

だったかと、やはり大学の先輩であった部長さんに聞いたら『手の切れ

るようなスケッチを描く人だった。』と言ってくださっていたそうです。

_

そういう話を「手が切れるようではいけない」ランドセルのお話の翌日

に書いているのもおかしいタイミングですが、わたしの描いたランドセ

ルはその世界の中では「手が切れるような表現」のようにも思います。

それは、do-nabeもそうだし朱肉Shunikもそうだし80mmにも新型の

信号機にも言える事です。いずれもその世界の中では最も「手が切れそ

うな表現」かなと思ったりします。

それは「緊張感」であり「うぶさ」であり「新鮮さ」でもあると思いま

す。そしてそれこそがわたしのデザインの魅力のように思います。

それにしてもどうして今まで稲盛さんのその言葉と出会わなかったのか

がとても不思議です。

しかしこの出会いを通してまだまだ自分のデザインに可能性というか潜

在的なチカラがある事を再認識しました。

秋田道夫

2020/9/29

三条ものづくり学校

9:17 AM

September 28, 2020


小学校をデザインしたい

10年も前から『小学校をデザインしたい。』と言っておりました。

というか、大学の卒業制作に「小学校の為の椅子と机」を取り上げた時

からそういう気持ちがずっとあったわけです。

とはいえ「小学校のなにをデザインするのか」どこから手をつけるのか

は長年の「宿題」でした。

今は仕事のマネージメントをノッツ さんとしておりますが、その中で

社長の正木さんから『ランドセルのデザインをしてみませんか?』とい

うお話が出てきました。

不思議な事にわたしは「小学校のデザイン」をする事は「小学校」という

場所に囚われていたのですが、ランドセルというテーマを聞いてなにか大

切な啓示を受けたように思いました。

プロダクトデザイナーの考えるランドセルはどんなかたちになるのか。

楽しみにしておいてください。

秋田道夫

2020/9/28

スクリーンショット 2020-09-28 17.54.54.png

カバン開いた.jpg

ランドセルらしい.jpg

 desk2.jpg

4:19 PM

September 24, 2020


解像度

何ヶ月か前に奈良の山本さんと電話で話をしていて『解像度って大事で

すよね。』と山本さんが言われました。

それはどういう流れで出てきた言葉かというと、今人と会えない状況の

中でパソコンを通して話をする機会が増えていますが、その中で気がつ

いたのはパソコンに標準装備されているカメラやマイクでは「自分のそ

のまま」がなかなか相手に伝わらないという事です。さすがに昔のテー

プレコーダーほどには声の質が変わったりしませんが、「自分の素」と

は思えないわけです。

カメラも画質が荒いという事で、外付けのカメラとマイクを買ったりし

てなんとか少しでも「良いも状態」を相手に届けたいと工夫したわけで

す。

そういう中でタイミング良くというかJ-WAVEに出演をする機会があり

した。この話が面白いのは、以前J-WAVEに出た時スタジオの「良い

材」を通して聞こえてきた「わたしの声」が良い声だったというとこ

から『解像度によって印象が異なりますよね。』という話になったわ

です。

_

「解像度」が低いとそれを補足する為の各人の想像力に依存する部分が

増えます。

SNSで分かった事は「他人はその人自身が今興味のある事にはセンサー

が働くけれど、関心の無い事にはセンサーが働かない」という事です。

つまりわたしの話が面白いか否かではなくて「自分の関心」を他人の中

に見出すわけで、話題によって「解像度」が異なるわけです。

それはインタビュー記事やプロフィール写真の撮影にもいえます。

あらかじめわたしを調べてくれた人や、もともとわたしに関心があった

人ではその内容や出来上がりにおおきな差が生まれます。ようはわたし

に対する「理解の解像度」が違ってくるという事だと思います。

_

「自分のアウトプットの解像度を高めるというのは、他人との誤解を減

らして価値観を共有するためにおおきな働きがある」という事かと思い

ます。

秋田道夫

2020/9/24

9:20 AM

September 21, 2020


フィールドオブデザイン

4月から新しい3Dソフトを使い始めたのですが、半年が経過して少しは

描けるようになってきました。

とても「使い勝手の優れたソフト」なんですが、名前は伏せておこうか

と思います。いつもっと優れたソフトを見つけて移行するかもわからな

いので、妙に宣言して縛られる事なく自由な選択肢は残しておきたいと

思います。

_

さてわたしはこれまで20年以上ある3Dソフトを愛用してきました。

使い慣れている事もあってある程度は自在に描けるようにはなっていま

すが、慣れでは解決できない二つのソフト上の制約があります。

一つは、データの保存方式が限られている事です。

今、製造の現場で最も普及しているのは、ソリッドワークスというソフ

トですが、このソフトでデータが読み取れるかがおおきなポイントです。

以前から使っていた3Dソフトのデータは残念ながらそのソリッドワーク

スで読めなかったのです。

他方、今回使い始めた3Dソフトは互換性が高くソリッドワークスでも

読め込めるだけでなくソリッドワークスで作られたデータもスムースに

読み込めます。

その事を確認した時には、内心「小躍り」しました。長年の宿題だった

だけに解けた喜びも一塩でした。

つまりわたしがデザインしたデータを設計者に送って、そこで量産に必

要な用件を盛り込んで手直ししてもらいそれをわたしが細部を直したり

できる事を意味しています。

大幅に時間が短縮できるだけでなくデザイナーがどこに「留意」してデ

ザインしているかを設計者の方に理解してもらえるわけです。

それは「価値観の共有」につながると思っています。

もう一つのポイントは「フィレット」と言われる「立体面の周囲にアー

ルをつける」加工が難しい事です。このフィレットというのは「量産品」

にはとても重要なポイントです、それが難しかった。

この点でも新しいソフトは自在で、ワンクリックで面取りができた時は

感動ものでした。

参考と言うほどでも無いですが、「照明器具」を描いてみました。

傘の柄のようなものを描いてそれに灯部分をつけました。

「どこかで見た事がある」印象のデザインですが、それをわたしが描い

いる不思議を感じました。『こうやってデザインしているんだ。』と

いました。わたしは他のデザイナーがどんなソフトやハードを使って

るかに、あえて関心を持たないようにしてきましたが、事務所によっ

は10年も15年も前からこのような作業環境でデザインしてきている事

今回容易に想像ができました。

もちろんこのデザインはこれまでの3Dソフトにも描けるもので、その事

自体に新鮮さは無いのですが、デフォルト(標準装備)で用意されてい

る材質のバリエーションが多く「センスが良い」のです。

例えとして適切かは分かりませんが、デザイン事務所でなにか作業をす

る時に用意されている紙一つも材料が良くて、それを切るカッターや定

規もデザイン性の高い道具が用意されていることの気持ち良さに通じま

す。3Dソフトにも「世界観」がある事を知りました。

フィールドオブデザイン。

デザイン環境の大切さを今更に感じた今日この頃です。

秋田道夫

2020/9/22

スクリーンショット 2020-09-21 11.23.33.jpg

スクリーンショット 2020-09-21 9.52.26.png

スクリーンショット 2020-09-21 10.06.18.png

10:54 AM

September 20, 2020


情報弱者

最近はいろいろな申請を、PCだったりスマホだったりで「できる」とい

うか、せざるをえない状況にあります。

その度に、申請手続きのUIがあまり親切とはいえない事に「とほほ」な

思いを抱きます。

さらに困るのはこういった「ぼやき」をする側が問題と言われてしまう

事で、いったりだれがどのスタンスで「できない人を批判できるのだろ

と思ってしまいます。ほんとに「フラットな立場」の人はどこにいるん

でしょう。


つまり「文句を言うなら実際にやってみろ」という事でしょうが、

できる事ならどういうソフトをどう作れば良いのかについて監修という

か参考意見を言う立場になりたいなあと思ったりします。

「ソフトウエア(プロダクト)デザイナー」になりたいですね。

まずこういう事はソフトウェア(ホードウェア)に詳しい人に依頼する

のでしょうが、ここまで一般化した現在で必要な事は「情報弱者の側」

の主張を代弁できる人であって、「なんでも使いこなせる情報強者(?)

」の目線ではないように思います。

常識と見識のある「情報弱者」の存在は重要です。

そうやって考えるとわたしは、その立場で語るのは微妙な気もしますが。

秋田道夫

2020/9/20

12:41 PM

September 16, 2020


パッケージ

119150369_10220621527466143_6514992230526619904_o.jpg

南政宏さんの手になるVantechの78mmと220mmが、2020年の日本

パッケージ大賞家庭用品・一般雑貨・化粧品部門にて入選いたしました。

今年の南さんは豊穣な年で同時に4点が入選しています。

_

『南さんは立体(プロダクトデザイン)も平面(グラフィックデザイン)

も高いレベルで融合したハイブリットデザイナーだ。』と以前評しまし

たがそう言った意味では「立体と平面」の両面があるパッケージデザイ

ンはもっとも南さんの才能が生かされやすいジャンルなのかもしれませ

ん。

9:23 AM

August 22, 2020


人は今にしか生きられない

いい大人が『コンプレックスないんですよね。』と書いたりすると実際

にあってもなくても「それを語る事自体」がなにかタブーのような気も

します。

思うんですが、本人がどう感じているかとは関係なく「コンプレックス

もっているかいないか」を判断されてしまってその「一般的な判断基準」

はなかなか崩せません。というか、ようは他人事なので「あろうがなか

ろうがどうでも良くて」「自分の思う範疇に人はとどまっていて欲しい」

わけです。

_

なぜこんな回りくどい前置きをしたかと言えば、あるサイトで「父親か

ら言われた『お前はやればできる。』という言葉が自分の支えだった。」

というすでに50最近い人の話を読んだからです。

一見すると『お前はやればできる。』という言葉は応援のメッセージに

聞こえますが、良く考えると『今はそう出来てはいない。』という判断

を相手(この場合お父さんですが)はしているという事にもなります。

そんな批判と応援がないまぜになった言葉の代わりに『今のままで十分

生活できるよ。』とか『自分が子供の時より優秀だ。』とか『友達多い

からいいんじゃない。』とか『親思いで感謝しているよ。』といくらで

も「人としての価値」を認める言葉はあるんじゃないかなと思うんです。

そうでないと「今が出来ていない悲しい」時間になってしまいます。

なぜ最初にコンプレックスのお話が「やればできる」と結びついたかと

言えば、言葉の使い方によって相手に不要な劣等感を植え付けかねない

という事で、それが親だとちょっと根が深くなるなあと思ったからです。

大人というか学校や会社を通して「自分の努力じゃ歯が立たない人物」

に必ず会うわけで、その事実を知っていながら『やればできる。』とは

なかなか言いにくくなると思うんですが、こどもに言ったつもりが実は

本人もいまだに見えない成果を追いかけていたのかもしれないですね。


秋田道夫

2020/8/22

4:20 PM

August 12, 2020


鳳凰堂

ぼんやり鳳凰堂.jpg

残暑お見舞い申し上げます。

残暑ではなく「盛夏お見舞い」という方がぴったりの今日この頃ですが。

去年の7月末に、桂離宮と宇治の平等院を観て来ましたが、京都はびしび

しの暑さで、40度近い中で観る名刹というのは想定外でした。

まあ、建築自体がその暑さに「びっくり」していると思います。

_

絵を描くというのは楽しいものですが、ちよっと切ない部分もあります。

どういう事かと言えば描くためには対象を観察するわけですが、良く見

ていると知りたく無い(?)ものまで見えてきます。

絵は10円玉に描かれている、シンメトリーで有名な「鳳凰堂」ですが、

名前の通り空想の動物「鳳凰」を模した形状になっていて、本堂の左右

にはちいさな閣と廊下が広がっていてそれを上から見ると鳳凰の羽に見

えるわけです。ちなみに本堂の後ろには、尻尾にあたる廊下があって名

前もずばり「翼廊」と「尾廊」と名付けられています。

しかしその「翼廊」は良く見ると「本堂」と繋がっていないんですね。

しかも廊下らしき部分は天井高が1メートルぐらいしかなく到底人が歩け

ません。角にある「閣」にも入れない。その翼廊に登るための階段もあ

りません。ようは「飾り」なんですね。非常に手間と費用のかかった飾

りです。

_

ここで終わっても良いのですがさらに面白いのは鳳凰堂の描かれた「10

円玉」なんですが、あれだけ小さく省略されている部分もありますが、

きっちり「左右の廊下は本体とは繋がっていない」事が強調されて描か

れて(彫られて)いる事に気がつくのです。

10円玉より何倍も大きなわたしの絵が曖昧で繋がっているように見える

のに。言い訳をすると実際に見るとパース(遠近感)がかかって奥にあ

る廊下は本堂と繋がって見えます。きっとそれも計算の内だと思います。

秋田道夫

2020/8/12

11:34 AM

August 7, 2020


流れ

https://my-best.com/2871

最近のわたしの話題と言えばこのマドラーかルーペでしょうか。

「たなごころ」というか手に収まる(収まらないけれど)ようなこぶり

な製品達です。

_

そう言えば、10年前に2000年代を代表するプロダクトはなにかという事

を書きましたが、その時に選んだのは「体温計と大根おろしと加湿器」

だったんですね。とてもありふれた昔からある製品を有名なデザイナー

達のデザイン力で新たな魅力を吹き込んだわけです。

2000年代はわたしが知る限りこれまででもっと「プロダクトデザイン」

という仕事にスポットライトが当たった時期ですから、先の三つだけで

なくいろいろなものを「代表作」として選ぶ人がいてもおかしくはあり

ません。

それを考えるとリーマンショック以降である、2010年代に代表作を選ぶ

としたらなにを選ぶかといえばバルミューダーの扇風機とトースターが

浮かぶのですが、逆に言えば、それ以外の製品が出てこないという感じ

です。

わたしが2010年代の終盤にマドラーやルーペという身の回りの製品を

デザインしているのは、偶然でも特異でもなく「世の流れ」なのかなと

思ったりします。

9:29 AM

August 1, 2020


公共の意味

大阪に行ってきましたが、新型の信号機の設置が加速していました。

信号機をデザインした当人だからの意識でしょうが、景色が変わって

来たように思います。

2年前の2018年に新型信号機が最初に導入されたのは大阪でした。

導入の理由で考えられるのは旧来のランプ式信号機が府内に多く残っ

ていて、LED化を推進するには低コストの新型を導入するのが合理的

だったと考えられます。

実はそのタイミングで大阪が大きく変わった事があります。それは、

大阪市地下鉄が民営化されて「大阪メトロ」として発足した年でもあ

ります。

メトロの「M」をループ状にしたシンボルマークは日本デザインセン

ターの色部さんのデザインだという事ですが明快で素敵なマークです、

地下鉄の入り口に掲げられた新ロゴはそれだけで「責任感」「安心感」

を表意しているようです。

新しい地下鉄は駅自体のデザインにも力を入れていて御堂筋線中津駅

梅田駅、心斎橋駅、動物園前駅、中央線堺筋本町駅の5駅の改修にあた

って奥山さんが監修しているそうで、まず先日中津駅という駅構内の

利用が始まりました。その空間は新しい。

_

くしくもその新しい地下空間の有り様と、地上に上がった時に見える

新型信号機のフォルムが「呼応」しているように感じたのです。

「薄過ぎ」「軽過ぎ」という声が導入当初ありましたが、2年が経過し

て大阪メトロの新規構想が見える形になってきて、時代が変わってい

る実感がそこに暮らす人たちにも生まれてきている事でしょう。

その「感性」が根付いた時に新しい信号機に込められた感性が根付く

という手応えを感じた大阪行でした。

秋田道夫

2020/8/1

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11:06 AM

July 25, 2020


アルミの魅力

日本アルミ協会の機関誌「アルミエージ」の中でアルミを使ったステー

ショナリーの特集が組まれていますが、その中でタケダデザインプロ

ジェクトの製品群も取り上げていただきました。

嬉しいのは、わたし自身月光荘のスケッチブックや、ステッドラーの

製図用シャープペンシルには長くお世話になっておりました。

何十年間も使われて続けている製品と同じ誌面で紹介されている事

です。

7:29 PM

July 22, 2020


「たぶんブランドの周知度と言えば世界でもトップに君臨するコカコー

ラが今も大々的に宣伝を続けるのか?」

それが、わたしの長年の素朴な疑問ですが、そこから導き出したわたし

の仮説が「砂」です。

安部公房さんの有名な小説「砂の女」の中で、砂丘にある部落の話が出

てきます。そこを訪れた男性が「砂掻き要員」として一軒の家に閉じ込

められてしまうというお話ですが、そのお話がブランドというものも、

常に時代の流れという「砂流」にさらされているという「寓話」に思

えたのです。

_

もうひとつ唐突な例えですが、幕末の江戸城を撮影した写真が残されて

いますが、その城壁や壁が壊れていたり汚れていたりする様子が写し出

されています。江戸城は広いですから、そのメンテナンスも大変だった

と思います。同時にそれは幕府の勢力が衰えているというほころびを民

衆に知らしめてしまう役割を果たしてしまっていた事にもなります。

コカコーラは世界的な企業ですから「城壁」の広さは膨大です。

そのメンテナンスに莫大な費用かかかる事も理解できます。

_

翻って自分の事ですが、常に砂を掻き出し続けていないとあっさり時代

から忘れ去られていくのは自明です。

ゆえに日々ブログやフェイズブックを更新し続けているわけです。

秋田道夫

2020/7/22

11:07 AM

July 22, 2020


ポピュラー

セラミックジャパンが楽天市場にショップを開かれました。

https://www.rakuten.ne.jp/gold/icomito/

考えてみるとわたしのデザインしたもので「どこでも買える」という製品

はほとんど無いんですね。

一時、ハイアールの製品が大手家電販売店で売られていたり、デバイス

タイルのコーヒーメーカーが大手家電販売店以外にもカフェチェーン

エクセルシオールやドトールの店頭で売られていた事が「最大数」ではな

いでしょうか。

そうやって考えると店舗数の多い無印良品で扱われる事のすごさを思った

りします。

_

有名なグラフィックデザイナーの代表的な仕事というのが缶ビールや清涼

飲料、チューインガムといった「どこでも安価に買える」ものが多い事に

改めて気がついたのですが、知名度は予めその製品(商品)の普及度と

手軽さに依存した部分がある事だと思います。

そうやって考えると「どこでも買える」ものをデザインしていないわたし

にそれなりの知名度がある事は不思議な気がするのですが、信号機という

「買えないけれどどこにでもある製品」を手掛けているのですが、新型の

信号機が都内にも設置された時、多分いろいろな意見が出るとは思います

がそれが落ち着いた先が楽しみです。

秋田道夫

2020/7/22

10:19 AM

July 19, 2020


自分が楽しみ

今、わたし自分のデザインに関して、まったくに近く切迫したものを感

じておりません。いや、それどころかこれからなにか大きなステージが

待っているだろうという確信に近い予感がするんですね。

そのステージが来た時にしっかり受け止められるように毎日ぽちぽちと

腕を磨いております。あくまでもぽちぽちと。

そう、わたしってまったくに近く力感がありません。力んでいないおか

げで肩も凝りません。

_

その実、軽く投げているように見えるボールが実はバッター(ユーザー)

の手元に来るとピッと伸びる球を投げている事に気がついてくれている

人が増えているというのが、最近の喜びです。

これまで本来力んでいないわたしが力んでいましたから。

これからの自分が楽しみだなというお話でした。

秋田道夫

2020/7/21

3:27 PM

July 18, 2020


F1コックピット.jpg

5:42 PM

July 16, 2020


ミバの問題

プロダクトデザイナーと一括りで外からは見られますが、実は旧来(?)

の工業デザイナーもいれば、建築寄りの人もいれば家具寄りの人いれば、

グラフィック寄りの人もいるわけです。さらにその「ガチガチ」の工業

デザイナーであってもカーデザインの人もいればわたしのように家電が

主なデザイナーもいます。

みなさんは「家電のスケッチ」って見た事がありますが?

実は本職のわたしでもそう家電のスケッチというものを見た経験がほと

んどありません。スケッチというと自動車のスケッチであり、デザイナ

ーの絵というとカーデザイナーの事が多いのです。

なぜかといえば家電のスケッチって「面白みにかける」んです。

ドラマチックでもないし、断崖絶壁の前に冷蔵庫を置いたスケッチは奇

妙でしかありません。

『とんでも無い値段の家電が存在しないのは人に見せて自慢できないか

ら。』という名言をいった友人がいますが、まさに家電では「絵になら

ない」わけです。(オーディオ機器は例外ですね家電じゃ無いし)

そんなわけで生活家電デザイナーのわたしもクルマや飛行機を描くわけ

です。

 GeeBee2.jpg

9:48 AM

July 7, 2020


仕事のデザイン

わたしの活躍はこれからだろうと思っています。

なぜこれからなのかと言えば「仕事が出来る人でなければいけない」と

いう長年の呪縛から開放されるからです。

まあ、デザインは出来るかなと思うのですが、はっきり言ってわたしは

「仕事ができない人」です。

大学生の時に様々なアルバイトでみんなができる事がすんなりと出来な

いの自分を知りました。ほんとつまらないミスをしてしまいます。

会社に入って数ヶ月後に、一ヶ月ほど大阪の電気店で販売実習を経験し

ましたが、やっぱりできないと思いました。

その傷心した最中休憩室で毎日新聞に掲載されていたのが「毎日ID賞

募集」の記事でした。日頃見ない新聞で出会ったのはほんと運命的だ

と思いました。 _

その毎日ID賞で特選を受賞したので、まわりは「デザインが優秀なら

仕事全般も出来るだろう。』と買いかぶられてしまいましたが、本人

は賞を取ったからと言って仕事の出来とは関係ないと思い内心過度の

期待をされては困るとつねに冷や冷やしておりました。

こういう告白は、これまでにだれにもした事がありません。

_

『デザイナーだからデザインができればい良い。』ものではありませ

ん。会社では「ゼネラル(総合的な)な能力」問われます。いずれは

リーダーになり管理職に移行します。

もちろん職人的にデザインだけに専念する道もあったでしょうが、そ

れもまた腑に落ちないという矛盾が自分の中でありました。

たぶん一人で事務所を続けているのは、「複数人では必要になる事柄

が上手くいかない自分を知っているからです。

わたしは今会社員になっても昔同様に仕事ができない人だろうと思い

ます。ただこう思うんです「社会という会社では仕事が出来ているか

もしれない」と。

秋田道夫

2020/7/9

5:19 PM

July 7, 2020


継続のデザイン

ふしぎなもので、子供の頃から自分は飽きっぽいと思っていたのに、こ

うやって長年文章を書き続けています。

別に文章書くのが好きと思ったことはないのですが、話すことは好きな

ので、自分自身が自分の「口頭筆記」をしている気分で書いています。

何度か書いてきた事をまた書きますが、わたしが文章を書くきっかけは、

わたしが独立してまもない30年ほど前に会社の友人が、ある著名な建築

家に自宅の建築を依頼したのですが、わたしが建築好きだと知っていた

友人が、建築事務所での打ち合わせに同席しました。

その場でわたしは、その建築家の方に『次代を担う若い建築家はだれだ

と思いますか。』と考えてみればぶしつけな質問をしました。

その質問に対して、ほぼ即答で『隈研吾さんでしょう。』と返ってきま

した。『その理由はなんですか。』とインタビュアー(?)が追質問を

しましたが、その答えが『文章が書けるから。』でした。

わたしは同世代であり、隈さんが学生時代すでに建築雑誌にコーナーを

担当していた事も知っていたのでとても腑に落ちた記憶があります。

別に隈研吾という人が今大活躍をしているから書いているわけではない

ですが、建築家にあっても(建築家だからかもしれませんが)建物の

デザイン力だけではなくそれを客観的に捉えて文章化できなければいけ

ない事を知ったわけです。

_

別にブログをはじめなさいとかSNSで書きなさいというつもりもないの

ですが、「残るのは言葉」だとわたしは思っています。

秋田道夫

2020/7/7

10:29 AM

July 6, 2020


AG!

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九州にある業務用ガラス機器メーカー「旭製作所」が70周年を迎えま

した。5年10年会社を存続する事すら難しいのに、70年間継続し続け

るというのは途方もない難事です。そういう年数の感覚も、自分が独

立していなければピンとこない感覚かもしれません。

_

わたしが旭製作所のお仕事をする事になったのは、2005年だったかと

思うのですが、きっかけは信号電材の糸永会長に紹介していただいた

事に始まります。

現相談役の子息である池田靖之社長さんが会社を引きつぐにあたって

会社全体のデザインを考えて欲しいという依頼でした。

意外な事ですが、最初に手かけたのは「ガムテープ」と「ステッカー」

のデザインでした。

なぜガムテープかと言えば、製品のサイズが大きくてバリエーションが

多いので特定のパッケージが存在しませんでした。それならと考えたの

が、梱包するときに使うガムテープと行先のステッカーをデザインして

すこしでも「統一感」を出そうという試みでした。

考えてみると、旭製作所の仕事ではプロダクトデザイナー「らしい事」

というのはほとんどしてきていません。

会社のロゴマークをデザインしたり展示会のブースをデザインしたり、

新工場のための建築をデザインしたりユニフォームを考えたりと、グラ

フィックデザイナーと建築家となにかを「足して足して足した」ような

仕事です。

ようは依頼通り「会社が社会と関わる事全て」についてデザインをして

きた感じです。

旭製作所での仕事ぶりは他のデザイナーの方から見て興味深いものだと

思うので一度まとめて公開したいと思っています。

_

旭さんと仕事をしていて嬉しいのは、ロゴマークを大事にしてくれてい

る事と、社内から出来上がってくる素案がすでにとてもデザイン性が高

い事です。

この表紙も何点かの候補だったものからインスピレーションをもらって

考えたものです。

たぶんベース案が、あるところまで来ていなかったらこんなシンプルな

デザインは提案できませんでした。

うれしくもありありがたくもある共同作業の成果物です。

秋田道夫

2020/7/6

9:54 AM

June 25, 2020


機嫌の良いデザイン

ここ数年で最大の発見(?)は、自分の機嫌の良さでした。

毎日だいたいニコニコしているし、人と会えば冗談をいう人です。

それゆえ、文章だけからわたしを想像した会いに来た人たちは、文章と

のギャップに驚いて帰られますが、たぶん会社に戻って文章を読むと

また厳しそうなわたしに戻って、いったいあの「実物」はなんだった

のか幻かと思うのかもしれません。

そういうギャップの存在が自分でわかっても、その差を埋める術が思い

つきません。

なにせ作品(製品)の多くがモノクロかつシンプルなのでさらに「笑っ

ていない」ように思われます。

_

下の写真は最近購入した、ソットサスデザインの名作オリベッティーの

タイプライター「バレンタイン」(1968年)です。

その永久性はもとよりなにせ「機嫌が良いデザイン」です。

綺麗で発色の良い赤が部屋をいっぺんに明るくします。本体の形状自体

はシンプルですが「キー」が電動ではなく機械式なので十分に「複雑性」

をかもしてます。さらに横あるハンスウエグナーの椅子も「機嫌が良く」

見えるしアルバアールトの机も機嫌が良く、ヤコブセンのテーブルラン

プも機嫌がよさそうです。机周りで唯一「無愛想」なのがiMacでしょう

か。

しかし次第に「デザインにおける機嫌」というものがその「素材と色」

におおきく左右されている事に気がつきます。

陶磁器や木製品というのは、肌合いや色によって「おのずと機嫌がよく

見えやすい」という特性があります。

わたしは80mmやdo-nabeを手掛けた時に「その事に気がつき」ました。

なにせ「細かい事が再現できない」というのも結果的に「機嫌よく見え

る」理由につながったりします。

べつに「機嫌が良い」事だけが、その製品の価値基準ではありませんが

使う人が明るい気持ちになるもの大事な要素です。

秋田道夫

2020/6/25

バレンタイン.jpg

10:42 AM

June 23, 2020


行為の質

自慢話が続くと読む方もいやでしょうね。よくわかります。

しかし「自慢も書かない美しい人」で過去から現在までいたらたぶん

中国のサイトに載ることもなければ、みなさんが知るところのデザイ

ナーにもなっていなかったかもしれません。

別に「美しい」の反対語が「浅ましい」とは限りません。

たしかに『いやー別に有名になりたくなかったのになっちゃった。』

というデザイナーの「都市伝説」を聞いたことがあります。

しかしその「実態」はよくわかりません。

本人は「なりたくない」と思っていたかもしれませんが、その実は

有名に「なれる可能性の高い道」を歩んでいたのかもしれません。

実際わたしの知った「なりたくないのになったデザイナー」という

人は、入るのが難しい大学を出て入るのが難しい企業の経験です。

海外のデザイン事務所の経験者だったりします。

ようは「言葉ではなくて行為」の問題というか「行為の質」にあり

ます。

しかし、そこに「時代の景気」という別の要素がおおきく絡んでき

ます。わたしは1953年生まれですが、その前後3年間は就職氷河期

でした。絶不調ですね。その2年前、その2年後の卒業生とは大きく

就職した企業が異なります。

その「なりたくなくてもなったデザイナー」はひょっとすると時代

の勢いがあったのかもしれません。1965年生まれにたくさん有名な

デザイナーが誕生していますが、その世代の人たちが就職する時は

バブルの真っ盛りでした。

今活躍している1977年や80年生まれのデザイナーは、これまた就職

氷河期でした。それゆえ企業に属した経験の無い人もいます。

_

ようは個人的な「状況」が異なるわけで、ひょっとするとわたしも

もっと前かもっと後にデザイナーになっていたら「なりたくなりのに

なっちゃった」という人だったかもしれません。

実際独立してから15年ぐらいは「美しさを保って(?)」いましたが

『このままではまずい』と思ったのが90年代の終わり頃でした。

だって会社員時代の後輩がどんどん世に出ていて「出るタイミング」

を逸していましたから。

最近ちょっとは落ち着きました。

秋田道夫

2020/6/23

11:49 AM

June 21, 2020


ライフスタイルデザイン

なぜか、中国や台湾では結構有名人です。

理由として考えられるのは、15年前に台湾で大きなコンベンションが開

かれてそこでスピーカーの一人として演壇に立って話した内容が、今だ

に資料として残っている事。そして中国を代表する電機メーカーである

ハイアールの仕事をした事でしょうか。

実は、こういうリストに10年前から載せてもらっています。

正直その「美しき誤解」というか自分にとっては都合の良い評価軸を

国内でも作れるのかというちょっとした逆輸入的な事を思っています。

たった一度の講演での話が、そんなに流布し続けるのか不思議でなりま

せんが、そういった意味では驚くほどパフォーマンスが高いと言うか効

率の良い人です。

_

妙な自慢をすればおそらくこの中でもっともよく笑い冗談をいい、仕事

の数も働いている時間も短いのかなと思ったりします。

独立してから長い時間、スタッフもいないのに、9時に事務所に来て8時

に帰るという生活を続けていて徹夜した記憶はありません。

それだけ残して来た仕事も少ないわけです。

そういう有り様でジャーマンデザインアワードの金賞を65歳を過ぎてか

ら受賞したことは「デザイナーの仕事の仕方」に一石を投じているのか

もしれません。

無理をしないで来たおかげでまだまだ気力もあるし新しい事にチャレン

ジしようという意欲が残っているのが嬉しい事です。

秋田道夫

2020/6/23

メンバー.jpg

10:25 AM

June 14, 2020


入学案内

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今年度版の愛知県立芸術大学の入学案内に掲載していただきました。

わたしが最初にいるのはそれは卒業年度が古いからです。1977年

43年前。当時試験の倍率が20倍を越えていました。そんな学校によく

入れたなあと思い返しますが、まさかこうやって入学案内に掲載され

る「未来」がくるとは思ってもみませんでした。

秋田道夫

2020/6/14

10:18 AM

June 13, 2020


動物生態学としてのプロダクトデザイン

デザインにも動物生態学の要素があると思っています。というかもとも

わたしはヒトは人である前に動物だと思っています。

さてどんなジャンルの製品でも良いのですが必ず類似した「かたまり」

が発生します。

なぜかたまるのかといえばそれは作る側も買う側も「安心したいから」

に他なりません。

牧歌的に例えて言うならば、広い高原の中で一箇所に集まる羊の群の

です。高原(市場)は広いのに狭いところに集まっているのが合理

なんです。

よく『なぜ日本の製品は似たり寄ったりなんだ。』と指摘する人がいま

が、案外にそう発言する人もまた羊の群れの中にいるからこそ「安心

して」そんな事を言えたりするのです。

さてどんな世界にも群れから離れて一匹でいる羊がいるものです。

羊なのに「一匹オオカミ」なんて言われたりして矛盾していますが。

その群れから離れた一匹羊にも「二通り」あるところが今回のお話の

イントです。

一つは「天然」なタイプです。

ちょっと距離感と動物的カンにズレがあるわけで「とても危ない」。

もう一つは「意識的に群れから外れる」タイプです。ようはわたしの

ように目立ちたいタイプです。というか本来的にデザイナーとはそう

いう羊だと思っています。

なにせ「意識的」ですから、実はヒト一倍(羊一倍)に「どこに群

れがいるか」については常にセンシティブです。

狼が来たらいつでも群れに戻れるセンサーと「逃げ足」が必要です。

若い時は走力があってもいい歳になっても離れているのは大変です。

日頃わたしがのんびりしているのはたぶんなにかの時の走力を温存

ているからです。なかなかの矛盾です。

ここまでが、今月のはじめにfacebookに書いた事です。

_

デザイナーの個性をどうみなさんは思われているでしょう。

わたしはデザイナー特にプロダクトデザイナーには個性というもの

無いと思っています。

考えてみると小学校から中学校を経て高校あたりから個性的では

「先に進めない」事態が迫ってきます。まあ知性が人一倍発達し

て大人びていることを「個性」と捉えられる事もありますが、そ

れは厳密な意味での個性ではありません。さらに美大芸大に進み

たいとなると高い倍率をくぐり抜ける度に「個性の皮膜」が剥が

れて行きます。

例えば、芸術家が独特な服装や奇行をして「個性」と思われるか

もしれませんが、それすらも「学習の賜物」であって世界のどこ

か時代のどこかに「原型(モデル)」が存在するものだと思って

います。

「個性=学習」というお話は聞いた事がありませんので、これが

わたしのあくまでも仮説です。つまり最初の生態学で言えばまっ

たくの天然では、生き残れないのです。実際早世した天才はいく

らでもいます。

つまり一般的に言われている「個性」とは「ずれ」を意味してい

ます。「ずれ」ではあっても「はずれて」いないというのがミソ

です。そのずれは周到に中心をなす羊の群れからどれぐらいの距

離でどの方向に「ずらすか」ということはそれぞれのデザイナー

は考えて仕事を進めているのです。

わたしは「円筒形」で「金属製」の製品が多いのですが、それも

意図です。

考えてみれば円筒で包含できるものは「六角形」でも「八角形」

でも三角形でなければ「四角形」でも包含できるのです。プラス

ティックに置き換える事も出来ます。それは、すでに「なにが他

のデザイナー」によって領域を支配されているかという判断によ

るものです。


『なんだかつまらない。』そう思われるかもしれませんが、みな

さんが仕事にしている領域で考えてみてください。「つまるもの」

がどれだけ残っていますか。デザインも同じなんです。

秋田道夫

2020/6/13

12:22 PM

June 10, 2020


ポピュラー

平素デザインの話題というものから距離をとっています。

今風に言えば「(デザイン)ソーシャルディスタンス」ですね。

変わりと言ってはなんですが、デザインがまず顕著に見える都心の様々

な場所には足を運ぶようにしています。

そうすると「なにも起きてはいない」「なんも変わってはいない」と

感じるんですね。たしかし「なにかをしているような行為」は散見しま

すがその「恣意的行動」がはたしてどれだけ一般の人の気持ちに入って

いるのかは疑問です。

もうひとつの情報源は「自分検索」です。なんらかのかたちで自分が

関与や影響をしているものを見て「デザインの世界」を感じるように

しています。

さてなぜ「ポピュラー」というタイトルにしたかと言えば今デザイン

とくにグラフィックデザイナーの世界で有名な人達の「代表作」とい

ものが、手軽に手に入るガムや缶ビールといった日常的であり安価な

ものをして「代表作」と表されている事に気がつきました。

ようは「目にする機会の多さ」に、知名度が委ねられている。

『あー、あれね。』というコンセンサスですね。それぐらいでないと

会話にならないわけです。

それはデザインの質を語る事よりもそういう「大量に作られるものを

まかされている」という事が社会的評価だと「置き換わられている」

とも言えます。

プロダクトデザインでも同様の事が言えて、値段が安く大量に生産さ

れるものを担当しているイコール評価です。

かくいうわたしも「信号機」というほんとに街にありふれている製品

を手掛けているのでそこの部分を社会的評価だと思われているのかも

しれません。しかし勘違いしないで欲しいのは、仕事の発端は政府か

らでも警察からの依頼でもなく一信号機メーカーからの依頼によるも

ので「きっかけはとても小さいところから」はじまったものです。

さらに言えば「信号機にデザイナーが関わって製品になっている」と

いうのは、国内でははじめての事であり「デザイナーが関わるという

かたち」を作ったという事で、「だれがそれをするかの競争」ではな

い事です。

つまりポピュラーというのは、それがデザイナーが関与するのが「認

知済み」のものとそうでないものがあって「ないものをあるものにす

る」という事に対してわたしが関与してきたという事です。

この話は「主題」を言わないで書いているのでなかなか理解しにくい

内容ですが、わたしはポピュラーの「真ん中」を自分が担うかではなく

「デザインの必要な領域を広げる事」に常に関心と行動があるという事

を書きたかった次第です。

秋田道夫

2020/611

る」

1:15 PM

May 30, 2020


2020年のMA

わたしがデザインした家電シリーズMAが市場に登場したのは2007年の

事でした。「デザイン家電」としては後期にあたります。

実は今もケトルとIHクッキングプレートを事務所で使いつづけています。

故障なし。頑丈そのものです。

13年も経過したので、今デザインしたらどんなデザインを「したいのか」

を考えて今朝スケッチを作成したのが下の図です。

ハンドルはそのまま。蓋もそのまま。ただ本体であるステンレス部分を

上まで伸ばし「厚み」を増やしました。

スケッチをした当初は全体を白の艶消しにしたりプロポーションを変え

たりしましたが、どうもしっくりしないので「元の形」に戻しました。

やっぱりこれでないと「落ち着かない」のです。

13年前にデザインした時の思いはやはり変わってはいませんでした。

変わらないのはすごい事です。

秋田道夫

2020/5/30

 ケトル2020.jpg

1ketoru.jpg

4:00 PM

May 10, 2020


ことばをかたちに、かたちをことばに

ホームページを新しくして半月ほどが経過しましたが、アクセス数が結

構な数になっていて、関係者の方はその事に驚いているそうです。

_

わたしがその事を良かったと感じているのは、ホームページを作ってい

ただくにあたってわたしの「したい事」というのが、通常「ホームペー

ジにクライアントが期待する事」とかなり離れていたからです。

わたしが思うにホームページというのは結局のところ「周到な自慢」の

ようなもので、その事をいかに美しく設える(しつらえる)かというの

が、制作会社の腕の見せ所ですが、そういう行為をばっさり取られてし

まってどこに本領を発揮させれば良いのかわからないデザインです。

_

「見せたいデザイン(仕事)」から「見たいデザイン(仕事)」にした

い気持ちがありました。

これまでのサイトは「見せもしないデザイン」でしたから、ある意味

「見たい気持ち」に寄り添ったデザインにしたかったのです。

しかしその「読めるサイト」というコンセプトは意外な困難を作る人に

強いる事になりました。今ネットを観る人の多くがスマホである事。

タブレット端末もあり、ホームPCもあり、それぞれの端末によって表

示にずれが生じます。文章が多い分字の間隔やサイズが変わって大変

難しいのです。実は写真を全面に表示するよりも複雑です。

_

要は「見た目には効果的では無いのに、労力がかかったホームページ」

なのです。

ゆえに閲覧してくれる人が多い事が、その労に報いる最高の贈り物です。

今世界が対峙している困難な問題の中にあって、多くの人が「仕事」と

いうものの本質とは何かを考えたい理解したいという気持ちが高まって

いると思います。

そういった意味ではデザインした製品を単にレイアウトするだけでなく

その製品の背景やデザイン思想を読めるようにした事が、期せずしてタ

イムリーだったといえます。

_

新しいホームページのかたちが、プロダクトデザイナーとしての新しい

有り様の提示になっているならとても嬉しい。

秋田道夫

2020/5/13

5:37 PM

May 7, 2020


言葉の自分化

言葉の自分化はなかなかというか相当に難しい。

いやそれは何事によらない。服装だってそうです。黒ずくめにしておく

となんか「デザイナー風」になる。

部屋だってそうです。「白ずくめ(?)」にしておくとなんだか「デザ

イナー風」になる。

もちろん「デザイナー風」と思うのは、なにか大きな事を成したデザイ

ナーがいてその人の服装や仕事場を見て『そういうスタイルがそういう

仕事に結びついたのか。』という「記号性」を見出した人たちがいて、

それをなぞることによって「デザイナー風」という事が形式化したわけ

です。

最近は見かけませんが、建築家の人が「蝶ネクタイ」をしていましたが

それはル・コルビジェが「元祖」かなと思うのですが、実はそれには

合理的な理由がありました。昔はインクで描いていたのでネクタイをし

て作図するとネクタイで図面を汚してしまうからです。(ネクタイが汚

れるとも言えますが)どこまで真実かはわかりませんがとても理にかな

っているファッションです。

黒ずくめというとアルマーニが、ファッションショーの最後に黒のスエ

ット(Tシャツと黒のスラックス)で登場するのをイメージしますが、

それはおそらく「黒子に徹する」という事のアイコン(象徴)であるか

と思います。勝手な憶測を付け加えるとアルマーニはもともと医者を目

指していて、わたしはその動きやすい黒ずくめを見ると「オペ(手術)」

に着用するVネックの手術衣を想起します。

ようは「オリジネーター(元祖)」にはカタチに理由付けがあり、理由

にはその人の人生があります。

おいそれとはスタイルに「考え方」を入れ込む事はできません。

_

なぜ「言葉の自分化」という言葉を思い付いたかと言えば、きっかけは

意外なものです。

それはゴルフ動画を観ていてゴルフ初心者で関西出身の女性が打ち損じ

た時に『やってしもうた。』と発するのを観ていたからです。

平素は標準語で話をしていて、「驚いた時」「失敗した時」に関西弁が

口をついて出るというのは、如何にもありそうな事ではありますが、

それにしても雰囲気と「似つかわしくない」のです。

わたしは直感的に小学校か中学時代にそういう言葉を使う同級生がいて

その「状況」にある利便性というか、うまく責任を回避していた事を記

憶しているかもしれません。つまり「今これをしたのは自分ではない

(本意ではない)」という事を言葉化したように感じました。

いつまでも自分の責任を自分の言葉で反省しないと進歩するのは難しい

かなと思います。

_

「言霊」と結論付けると大袈裟ですが「自分の言葉を作らないと作るも

のも自分のものにならない」ものだと思うのです。

秋田道夫

2020/5/7

10:02 AM

May 6, 2020


デザイナー像

ライターの加藤孝司さんから、10年前わたしの事務所で撮影した写真が

送られてきました。

今も借りている部屋ですが、当時すでに古いアパートの一室です。

およそプロダクトデザイナーがここに「生息している」という気配はま

ったくありません。

_

2010年というとその年広島市が2020年夏季オリンピック・パラリンピ

ック招致表明をした事を受けて、若手建築家/デザイナーによる未来の

オリンピックにむけた提案運動を牽引していた人物の一人が加藤さん

でした。加藤さんはデザイン全般に興味も関心も知識もある方ですが、

その中でも建築家に関心が強くなっている事を感じたのもこの頃です。

JDNでコーナーを持たれている桐山さんも紹介者に建築家が増えてき

たりして「デザイン」のトレンドを作る人たちがプロダクトから建築

に移行している事が如実になったのが、2010年が「分水嶺」だったの

かもしれません。

_

加藤さんに紹介していただいた谷尻誠さんのその後の活躍はみなさん

も良くご存知でしょうし、スキンケアブランドの「Aēsop(イソップ)」

の青山にできた日本一号店の内装を担当した長坂常さんも、その前年だ

ったかに加藤さんに紹介していただきました。長坂さんはその後ブルー

ボトルコーヒーのショップデザインも担当されて、まさに現在の流行の

最先端を走る建築家を紹介してもらったわけです。とても贅沢な経験で

す。

_

でもまあ、こうやって写真を送ってもらっていると言う事は忘れられて

もいないし、今のような状態になって人と濃厚に接する機会の多いプロ

ダクトというものの役割の大切さを思われているのかもしれません。

それにしても10年後もこうやって同じ事務所でこの文章を、同じ机同じ

椅子に座って同じ湯飲みを使って同じブログにこうやって書いている事

が半ば奇跡のようにも思います。

秋田道夫

2020/5/6

L9995597.JPG

10:42 AM

May 5, 2020


入力と出力

今はとても貴重というか稀有な経験をしていると言えます。

こんな世界中が同じ問題で頭を悩ますというのはまさに前代未聞です。

何事によらず「だれかが得をしている」とか「だれがか免れている」

という「不平等」「不均衡」を言う事が、自分を正当化する口実だった

りしますが、今回に関してはまったく平等にマイナスです。

そんな「入力」があるなかでどんな「出力」をするのか問われています。

_

以前、設計を担当されている方達に、プロダクトデザイナーの考え方

についてお話をさせてもらった事があります。

なにか興味深い話に出来ないかと思い、ある「例」を思いつきました。

わたしが工場から営業所に毎日製品を届けるトラックのドライバーだと

して、その毎日通っている道路の中央に「おおきな岩(石)が落ちてい

たらわたしはどういう行動を取るかと言うお話です。

_

まず大切なのは「その道は往来が多いか少ないか」という事です。

(日頃から観察力が問われます。)

ようは困る人がどれだけいるかという事です。その事によって「取るべ

き行動と時間」が変わって来ます。混んでいたらそれこそ自分だけでな

く手分けして対応できます。それより大事なのは「だれが落としたか」

とか「今日はツイていない」とまったく考えない事です。それよりは対

応です。

そうクルマの量が多くなければ、トラックから降りて石を観察します。

ぐるりと回ってスマホで写真を撮る。トラックとの対比写真がサイズを

誰かに伝えるのに有効でしょう。(サイズと石の種類がわかれば重さも

わかるし、どんな作業車が良いかもわかるでしょう)

わたしは工場長に電話して、位置情報をスマホで知って画面をスナップ

で撮って送ります。(市役所が良いか警察がいいかも相談します。)

ようは「問題を共有」する事です。とにかく孤立しない、独り相撲をし

ない。

もうひとつ大事な事は「工場と営業所の関係性」を常から把握している

事です。つまり「今積んでいるものが、早急に届けないといけないもの

かそう急がれていないか。」を日頃から生産予定表をみてできれば販売

の状況も「なんとなく」把握出来ているかどうかです。

_

その上で迂回路を選んで運べば「だれもなにも言われない」それどころ

か冷静な判断をした事で、褒められるかもしれません。

一見ツイていない事が、あなたの評価を上げる事にも対応次第でつなが

るわけです。

でもここで終わらないんですね。その石を工場の人に運んでもらって

工場の入り口にある庭に「記念石」として飾れないかなと考えるわけで

す。もちろん「持ち主が現れなければ」。

秋田道夫

2020/5/5こどもの日

例え.jpg

9:17 AM

May 4, 2020


新しい事の意味

最近、新しい事に挑戦しております。

まず一つ目は、『使いやすいらしいですよ。』と教えてもらった3Dソフト

をインストールしてYoutubeの解説動画を観て試しておりましたが、実際

のところ理解に限界があるので基本操作の書かれている教則本を買いまし

た。

それから、先日対談をしたZOOMですが、そこで得られた経験をもとに画

質と音声を良くしたいと思い、マイク内蔵の高解像度の外付けカメラを購

入しました。

どちらも実際に使ってみると気になるところが出てきました。まだ、時間

があるタイミングで試しておいて良かったです。

わたしは、もともと新しい事にさしたる期待はしないようにしています。

期待するほどに失望が生まれます。

それでも「新しい事」に挑戦する理由はなにかといえば、「ものすごく

良い事」のように新しい事を喧伝する人がいるからです。

ようは「ビジネス」ですね。それは製品だけではなくSNSもそうだし、

様々なサービス全般に言える事です。

都合の良くない事は書かれていません。ユーザーサイドかと思っていた

「レビュー」ですら書かれていない事があります。

別に「懐疑的」になれという事ではありません。やっぱり「飛び込んで

みないとわからない」わけです。

振り返れば大学に入る事もそうだし、会社に入り会社を変わった事もそ

うです。多くの人が知らない事、自分だけが知っている事をさも輝いて

見せたくなるのは「人情」であって見栄も慢心も「しょうがない」部分

があります。経験とは自分が輝く事ではありません。自分がどれだけの

輝きかを客観的に知る術です。

秋田道夫

2020/5/5

6:05 PM

May 2, 2020


数字の意味

最近、Googleの検索数が50万件を超える時があります。

数字は刻々と変化するので確定的なものではありませんが過去最高です。

こういう事を書く度に、そんな数の人の多い実物が数を誇るかと自身も

思うのですが、なにせ「数字を増やす工夫」をまったくしていないし、

新製品もさして無いのに増えるのは不思議です。しかもそれが新しいホ

ームページを公開したタイミングだというのがよく出来た偶然です。

唯一思い当たるとすればこのブログです。

それは、雨の日も風の日も土日も街頭に立って「市政演説」をしている

無党派の市会議員のような気分です。だれも立ち止まって聞いてはくれ

ません。ただ選挙の時には、『あーそう言えば毎日「なんか」言ってい

たからよく知らない人に投票するよりは良いだろう。』そんな存在感で

何期も当選しているような気分です。

実際このブログを読んでいる人は多くない。(最近調べていませんが)

SNSをはじめてもさしたるフォロワー数にもなりません。

ようは「手応えはない」のです。

その手応えを感じられるのは、だれが投票してくれたか分からないこの

検索数であるわけです。まさに「サイレントマジョリティー」です。



「あの日から書き続けていたから今助かっている」そんな気分です。


秋田道夫

2020/5/2

10:25 AM

April 30, 2020


新しいホームページが出来ました。

ホームページ.jpg

https://m-akita.jp/


「読むホームページ」です。


秋田道夫

2020/4/30

12:44 PM

April 28, 2020


将来の自分に

今日出来ない事は明日も出来ない。

明日の自分を当てにするな。

将来の自分に負担をかけるな。

「あの時やっていたから今助かっている。」

そんなプレゼントを将来の自分にして欲しい。

秋田道夫

2020/4/28

8:56 AM

April 23, 2020


つたえるしごとラジオを伝える

視点.png

https://www.youtube.com/watch?v=wPYfTAcxFhk&feature=youtu.be&fbclid=IwAR1WM5qLxxZPsfArdDv-WxsSqFXO377ufTnwy2v_DHHviJIX5sbuY2HMQ

ユーチューバーじゃないのですがYoutubeでお話をする時が来ました。

7:10 PM

April 21, 2020


退屈をしのがない

飛び出し坊やをいただいたというお話の次の話題としてはあまり適切で

はないのですが、「人気者です。」という感じもちょっと「むずむず」

するのでおよそその反対のお話を。

_

坂口安吾さんの小説に「魔の退屈」というものがあります。別にそれを

読んでくれというお話ではなくて、ただただその「タイトル」の面白さ

というか「そういう状態」であった事が何度もあるなあというお話です。

今であればSNSやブログで「なんでもない日常」をつらつら書いてなん

となく「充実感的ななにか」を演出も出来ますが、そのSNS前夜である

20年前には「暇は厳然と暇」でした。

毎日ぼんやりしておりました。それゆえこうやって今もデザインをさせ

てもらえているのは「奇跡」にも思えます。

ただ大学を出て大きな賞を取ったり、有名な会社にいたというある意味

実績とプライドがあったので「武士は食わねど高楊枝」的な人であった

事は否定できません。

_

言えるのは「暇」や「退屈」を、納得のいかない仕事やアルバイト趣味

で埋めなかった事です。

かっこつけると「仕事があろうがなかろうが頭の中では常にデザインを

考えていた」わけです。それを忘れてしまうような「行為」に走らなか

った。

おかげでいい仕事のありがたさも良くわかります。

秋田道夫

2020/4/21

3:26 PM

April 21, 2020


飛び出しアキタ

IMG_0310.jpg

IMG_0309.jpg

南政宏さんが発起人になってくださってこれまで滋賀県で一緒に仕事を

させていただいた方達から新事務所の「お祝い」が昨日届きました。

滋賀県名物「飛び出し坊や」のオリジナルバージョン「飛び出しアキタ」。

あえて「顔無し」になっております。

螺旋階段から今まさに外に飛び出そうとしております。

9:38 AM

April 20, 2020


計画というもの

わたしのスケジュール表は、来月はおろか今月も真っ白です。何十年も

前からそうです。

ブログでもこれからの計画については、ほとんど触れないようにしてい

ます。

おかげでこのような時期にあっても、延期・中止という事を書かずに済

んでいます。

「これから」を書く事は本人には活躍を示すいい機会ですが、ではそれ

を見た人が関心があるのかは甚だ疑問です。楽しみとコメントで書かれ

ていてもほんとは「関心がない」というのが結論です。

_

計画というのは、本人のモチベーションに他なりません。

しかしわたしはモチベーションに依存して仕事をしていません。

来たものを淡々としかし誠実に仕事をしていくだけです。

秋田道夫

2020/4/20

10:31 AM

April 17, 2020


リフレイン

新しいホームページは、今月末か来月の頭には開示できるかと思います。

「読めるホームページ」を意識して製品の説明も多めになっています。

たぶんそれ以上に白眉なのは、「ことば」というコンテンツを用意した

事です。ここにはかつて「d long life design 」に連載していた「デザ

インの初心」が転載されています。

その原稿を改めて読み直しましたが、その15年も前に書いた文章の中に

「すべてが書き尽くされている」という感じがしました。

その本質を手を変え品を変えてブログを書き続けている感じです。

ただ思うのですが、一見それは「年寄りの繰り言」と同じようにも思い

ますが、「リフレイン(繰り返し)」は案外に大事な事かもしれません。

なぜなら15年前には「存在しなかった製品」が沢山ある事です。

そしてもっと大事な事は「15年前に発売されたものが今でも新鮮さが保

たれている」というか「今の時代の方がフィットしている」とすら思え

るからです。

15年前に考えていた事が「今も同様に言える事」もすごい事かもしれま

せん。

秋田道夫

2020/4/17

10:06 AM

April 5, 2020


コンテクスト(脈絡)

futu.jpg

ginza_six02.jpg

一本.jpg

CA3S.jpg

ステンレスルーペ.jpg

最近はこれまでのデザインを振り返っておりますが、わたしは1990年代

と2003年に発売されたデバイスタイル以降では、大きく「作風」が変わ

っています。

そこになにがあったかと言えば、90年代はほんと試行錯誤というか流行

を追いかけたり反発したりで「自分の仕事」をしていなかったように思

います。その反省をふまえて2000年以降は素直に自分のデザインをする

事でした。

でも今になるとその90年代の「色々やってみた」事が興味深く映るんで

すね。時代がまた一巡したのかもしれません。

そこで1990年代半ば使い始めたばかりの3Dソフトでどうやって使うか

もわからないで描いたの最初のスケッチです。

もともと建築好きなわたしは未来派と呼ばれた「アンビルト(実際に

建てられなかった)」のスケッチに魅了されていた時期があるのです

が、そのイメージで描いたモノです。実は最近使い慣れた3Dソフトで

描き直してみましたが、不慣れなこの原画のワクワクするような感覚

は再現できませんでした。そこには「初心」があったんだなと思いま

した。

その1997年頃に描いたカタチが今から見ると2000年代以降わたしの

デザインにも少なからず影響を残している事を改めて感じたわけです。

秋田道夫

2020/4/5

12:13 PM

April 3, 2020


初心の意味

「デザインの初心」

今進行中の新しいホームページの中に「d long life design」に連載し

た「デザインの初心」が転載出来る事になりました。

_

「初心忘るるべからず」は、能の世阿弥の言葉なんです。

著書「花鏡」の中にこんな一節があります。

是非の初心忘るべからず。

時々の初心忘るべからず。

老後の初心忘るべからず。

年齢も年齢なので最後の一行がずっしりきますが、「老年期になって

初めて行う芸というものがあり、初心がある。年をとったからもうい

いとか、完成したとかいうことはない」と解説があります。

「老年期になっても初めてデザインする製品があり、そこには必ず初

心がある。」「初めてである以上これまでの経験でなんとかなるとか

これまでのカタチで終われる事はない。」

秋田道夫

2020/4/3

11:00 AM

April 1, 2020


「才能」

「デザインの質は知識の量に比例する」

_

実はわたし「才能」というものがよくわかりません。それだけではなく

「センス」もよくわからないし、「努力」というのも分からないという

かあまりしたような気もしていません。「体力」にはもともと自信があ

りませんので、フリーになってから徹夜を一度もしていません。30年間

しかし「怠けない」「弛(たゆ)まない」という意味においては、多少

は誇ってもいいかもしれません。土日も連休も事務所に出ていますから

徹夜しなくても作業時間はたっぷりです。

_

建築界の巨匠である丹下健三さんの本を書いた藤森照信さんの話で興味

深かったのが、丹下さんと大学の同級生のインタビューの中で『ことさ

ら才能があるとは感じなかったけれど、情報収集能力には秀でたものが

あった。』と語っていた事です。

今のようにインターネットがあるわけでも海外の情報を得るには大変な 

苦労があったと思いますが、そこに情熱があったわけです。

それはグラフィックの巨匠亀倉雄策さんにも同様の話があって、戦前に

海外の雑誌を購読していたというエピソードがあります。

ようは「これまでにどんな良いものがあったか」を知る事だと思います。

べつにその期間「才能」なんていう事に頓着も執着をする必要もないし

まわりの才能に気にする必要もありませんしましてやコンプレックスを

は自分の知識を高めてから考えれば良いと思います。

『そんなので上手くいくのか?』と思うでしょう。その「上手くいく」

という考えも捨てた方が良いかと思います。上手くいくかどうかはその

時点ではわかりません。それは「目標」たり得ません。

そんな事を考えなくても知識が増えると楽しいものです。なにを見ても

滋養になりはじめます。ようは「知るのが好き」というのがあえて言え

ば「才能」かもしれません。

秋田道夫

2020/4/1

5:38 PM

April 1, 2020


新名刺

名刺.jpg

2:39 PM

March 29, 2020


潮流

最近.png

トレンドという言葉よりは「潮流」という言葉の方がふさわしいなあと

思いました。

わたしは自分が決めた道がいつのまにか、今の時代が作り出す道とずれ

ているのかなと感じていました。

実際ある時からデザインメディアに取り上げられなくなり、デザイナー

が有名になるプロセスからは離れているのを感じていました。

「潮目」が変わったのかなと思ったのが、5年前に特許庁の意匠審議官

の採用試験問題に自分の名前が掲載されているのを見出した時です。

たぶん10年前なら目にする事のできない過去の試験問題が今ではPDF

で開示される時代になっていたのです。

「声にならない声がある」「文字になっていない事柄がある」そうい

う「メタ情報」というものの存在を意識するきっかけでもありました。

言ってみれば「見えることだけでは本当はわからない」という事だと

思いますが、次第にそれだけではなく時代の潮流がわたしメディアも

「含めて」流れている事を自覚しました。

_

『流れに棹差していたわけではなく棹差す人にあらがっていた。』

それが今の感想です。もっと時代の潮流はおおきく力強く抵抗は

難しい。

3:07 PM

March 26, 2020


気にならないわけではないけれど

わたしはある時から「自分ではいかんともできない事について書き残さ

ない事にしました。

ある時、「気」という漢字がつく言葉には、その自分ではいかんともし

難い事柄が色々ある事に気がつきました。

「景気」「天気」「元気(その反対の言葉)」ほんと「気」というのは

「もやもや」する言葉がいっぱいあります。

_

景気といえば、一般的には就職氷河期1993年から2004年までの11

を指すようですが(長い。)自分が就職をした1975年1977

年の三年間も相当な就職氷河期でした。

実力的に差がなくても、景気によってこんなに就職先にに差がつくの

かを身を以て経験しました。

最近富に出生率が減っているという話が出ますが、実はその就職氷河

期と関係していて安定した仕事につけなかった人たちが多く「結婚」

して「子育て」という事がし難い事につながっていると聞くと深刻で

す。

_

みなさんが知っているわたしと年齢が近い人たちは、その「三年間」

か後ろかの世代なんです。

そしてわたしの一回り下の世代(1965年)には、多くの有名デザイ

ナーが活躍していますが、その世代は就職の時期まさにバブル真っ盛

りで、大量に大企業がデザイナーを採用した時代なのです。

「才能の年代格差(?)」を語る人がいるならば、それは景気の動向

年表と並べて論じないと正確ではないのかなと思います。

わたしが「有名」という、ある意味子供じみた事柄に拘泥してきたの

「スタートラインに立てなかった世代の無念」を背負っているとい

う気持ちもいくばくかはあるのです。

_

ね。こんな景気の良くない話をされても困るでしょ。ゆえに書かない。


秋田道夫

2020/3/25

4:46 PM

March 22, 2020


おくる言葉

INCLINE-grey.jpg

新しいホームページに過去デザインした製品を紹介するためにそれ

ぞれのメーカーに掲載の許諾申請をスタッフの方がして下さってい

ます。

うれしい事に、快諾の趣旨と温かい返事が戻って来ていますが、あ

るメーカーからは、返信が戻って来ませんでした。

調べてみると会社が業務をすでに辞めたれた事が判明しました。

それがこのソファー「INCLINE」を製造販売していたAIDECでした。

_

この「INCLINE」が発売されたのが、2007年でした。

当時ショールームがあった吉村順三さん設計青山タワービルに併設

された元音楽ホールでお披露目されましたが、大きなショールーム

が来客で満員だった事を思いだします。なにせ大学の設計者が吉村

さんだったので感慨深いものがありました。

_

写真は、葉山に2003年に完成した「神奈川県立美術館 葉山館」のロ

ビーを利用して撮影されたものです。

この写真がオープンされて半年後に現地を訪れましたが、当たり前

ですが、ソファーはそこにはなくにわかにはここで撮影された事を

気づくのも難しい感じでした。それだけこの「INCLINE」の存在感

が強い事を再認識もしました。

_

デザインは発売の前年に一年近くをかけて行いましたが、製品化の

最終段階で、開発の部長さんと担当の方と3人で富山までソファー

を作っている工場と脚部を作っているダイキャストメーカーを訪問

した事も懐かしい思い出です。

今更なお話をすると、脚部のダイキャストはサイドの部分を「ぴか

ぴか」にしたかっんですね。わたしは。

しかし、工場にそういう仕上げを出来る機械が無いと知りわたしは

あっさりと「諦め」ました。

その5年後だった富山デザインセンターの招聘で富山で講演会をす

る事になった時に、その時に対応してくれた専務さんがその会に参

加して下さって空港までクルマで送ってもらいました。

車中でソファーの話題が出て『あの時の打ち合せがずっと頭に残っ

ていてアキタさんが「出来ないですか。じゃあ辞めときましょう。」

とあっさり引き下がられた事が逆に自分の無念が増してしまいまし

た。そして研磨を出来る機械を導入しました。』と言われたのには

びっくりしました。今更「ぴかぴか」には変更出来ませんでしたが、

そんな事もあるものだと感慨深いものがありました。

_

実は、一年前にこの製品を廃盤にすることのお知らせが届きました。

残念ではありますが、12年間売り続けてくれていた事に感謝する気

持ちが先でした。

ただお披露目の席で当時の社長さんが『これは会社のリファレンス

として長く残る製品だと思います。』と言って下さった事を思いだし

ます。そして高級家具を取り扱うAIDECの中でも長く最高級品の位

置づけを占めていました。今にして見れば、その時すでに会社を清

算す段階だったのだと思います。それを知ってすこしは肩の荷が下

りたわたしがいる事も確かです。

秋田道夫

2020/3/23

6:31 PM

March 10, 2020


デザイニング

prima.jpg

今日、German design awardのカタログが届きました。

『もうデザイン賞は良いんじゃなかなと。』と言って『最後にもう一

回だけ。』というお話でIF賞にエントリーしたルーペが受賞して、そ

れならば、もう一度と出した香港のデザイン賞で銀賞を受賞してその

結果を見た、German design awardの事務局からエントリー依頼

が来て、こうやって最高賞のGoldを受賞したんです。

さらに、Red dot design awardで今度はアタゴの小型センサーが、

最高賞のBest of the Bestを受賞したんです。(ちなみにルーペは

出していませんでした。)

「出せば獲れる」というなんとも景気の良い話です。

_

海外のデザイン賞を受賞して改めて思うのは、過去にデザインした製

品たちです。こういう仕組みが容易になったのは、ほんの10年前です。

わたしの中では受賞作と同様にデザインをしていても機会に恵まれな

かった。しかし逆に言えばわたしの中で「等価」である事の確認が

できた事は大きな進歩です。

ちなみに今年の賞には、なにもエントリーしていませんがその事は、

受賞の意味をもう一度考えるよい機会だと受け止めています。

秋田道夫

2020/3/20

10:52 AM

March 9, 2020


クオリティ

220パッケージ.jpg

ワイン.jpeg

昨日の夕方放送された情報バラエティー番組「所さんのお届け物です」で

2月の初旬に開催されたギフトショーで目立っていた製品をいくつか紹介

していましたが、そのうちの一つがこのヴァンテックの「220mm」とい

うマドラーです。この製品がユニークなのは、触媒技術を使って飲み物の

雑味を除去してすっきりとした飲みくちになることです。

スタジオでテストしてその効果が伝わったのか、高価な製品であるにもか

かわらず、放送直後から問い合わせと注文が殺到してネットショップから

製品が消えていきました。わたしの検索結果にもヴァンテックがどんどん

並んでいきました。

_

ステンレスタンブラー「78mm」もヴァンテックの製品ですが、もともと

これは、滋賀で様々な製品を開発している滋賀県立大学の先生南政宏さん

が、ヴァンテックから相談を受けて、プロダクトデザインの部分をわたし

が担当していますが、製品のパッケージやwebサイト、広告に使う様々な

popも南さんのプロデュースによるものです。

わたしは以前から南さんの事を「グラフィックとプロダクト両方のデザイ

ンが高い次元で融合しているハイブリットデザイナー」と呼んでいますが、

この「220mm」「78mm」にはそのチカラが遺憾無く発揮されています。

ロゴのデザイン、パッケージや取扱説明書そして撮影の際に用いられる酒

の瓶のラベルデザインなど出てくるたびに目を見張る完成度です。

わたしはこうやって話題になっても「隅から隅までまったく手を抜かない

その高い完成度」があるので、まったくその事をしっかり受け止めること

ができます。

秋田道夫

2020/3/9

9:07 AM

March 2, 2020


今再びのエキサイトイズムインタビュー

エキサイトイズム.png

http://media.excite.co.jp/ism/135/?fbclid=IwAR1EIv9krMT5YNNid44xOB8gCQlPEgAV63_UiWXqHfLUL35qdmGlmqbbXDY

今から11年前のインタビューです。インタビューを受けたのは、今日の

ような冬の寒い日でした。場所は池尻大橋の目黒川そばにあるスタジオ

でした。前年にリーマンショックがあり景気も寒くみんなの気持ちも落

ちていた時期でもありました。

特集のタイトルは「トップランナーに迫る」今なら大迫傑さんですね。

しかしみなさんも思うように、わたしがトップランナーだったためしは

一度もありません。

インタビューの杉江さんもその事を重々承知で、文中にはある意味当時

ありがちだった「日本を代表する」なんて世辞な修飾語は、どこにもあ

りません。しかしながら紹介文にある「長年プロダクトデザイナーの王

道を貫いてきた」というのはわたしの有り様をよく知ってくださってい

るとても正鵠を得た表現だと思います。

そしてわたしは10年後の今も同じようなスタンスで仕事を続けています。

わたしの意識ではトップランナーでも二番手のランナーでもありません。

最後尾を走りながら集団全体のタイムアップをしていくのが「役割」だ

と思っています。

最後に写真を二枚。上はエキサイトイズムのもの下は2017年にWebCG

という自動車雑誌のインタビューのもの。

この間には8年の歳月が流れていますが、どちらにも80mmが置かれて

いることもあってふたつには「同じ空気」がそこにあります。たぶん

これからも。

追記

大事な事を書き忘れていました。

実はエキサイトイズムは昨年でサービスを停止しました。

今でもこのインタビューを残してくれたエキサイトに感謝しています。

実はこのエキサイトイズムか「デザイン家電ブーム」をネットで牽引

していたサイトでもあります。

そういった場所で、実質ブームが終息したタイミングでプロダクトデ

ザインの役割を語った意義と感慨は深いものがありました。

pic08.jpg

img_sub_interview3-1.jpg


5:54 PM

March 1, 2020


描くという事

押入れの奥をごそごそ探していたらえらく古びたスケッチが出てきました。

おそらく大学生の3年ごろに描いたものだと思います。

思うにわたしが一番絵が上手かったのは大学に合格した20歳の頃だと思い

ます。さしたる根拠はありませんが、「描きこむ」という事に何の躊躇も

遠慮もありませんでした。

ただ描くほどに限界も感じるわけですが、わたしが目指しているのは工業

デザイナーでたしかに今よりは絵の技量を問われていたように思いますが

さりとて大事なのは思考でありアイディアであり実現力だという事はすで

に感じていました。ようするに「新たな要素」という液体が混じる混む寸

前を描き止めたのが、このスケッチかなと思います。

たぶんこれは建築雑誌に載っていた写真を見ながらの模写なのである意味

時間をかけて丁寧に描けば「それ風」にはなるものです。

実はこの絵で自分が感心した(?)のは、左に描かれた筆記体の英文です。

読み難いものですが「of」がやたらに流麗です。

こういう描き方も字の書き方も別に習ったわけでも課題に出たわけでもあ

りません。ようは「燃えていた」だけです。

_

『なんだ自慢か。』そう思われるのはしょうがありません。たしかに自慢

ですから。ただ言えるのは「そこで止まってはいない」という事です。

すばらしい製品は「絵がうまく描けない」のですから。

どういう事かといえば「ただの円筒」だったり「ただの矩形」のものが、

すばらしいデザインと言われているのです。

それらは「絵にして絵になる」ものではありません。

写真だったら風景や「光の演出」があるので、「様になる」のですが、

絵になるのは、この絵のように古びていて物の濃淡やくぼみがあってはじ

めて丹念に描いても「様になる」のです。

_

下の絵は、数年前にiPad上で描いた物ですが、いかに「雑」でありながら

ものというのは「光の演出」でできているかがわかるかと思って添付しま

した。

秋田道夫

2020/3/1

スケッチ.jpg

クルマ.jpg

11:21 AM

February 28, 2020


ホームページの事

このホームページは有馬トモユキ(有馬智之)さんのデザインです。

今検索したら4万件を超えているしナレッジパネルもできています。

日本デザインセンターでの活躍も目覚ましいものがあります。

「天才有馬くん」が、世間に認知されるのは嬉しいというよりも当然

のような気がします。

このホームページも美しく品格があります。

しかし、新しいMacOSでは表示できなくなりました。

ブログのサイト「Information」も表示に不都合ができGreenboard

に移行しました。

すでにいろいろな所をメンテナンスしなければいけなくなりました。

_

実は4月を目処にだれも知らないだろう「Design Basic」という屋号

を32年前に独立した時に使っていた「秋田道夫デザイン事務所」に

戻そうと思っています。

そこで「過去の製品」や「受賞歴」というデザイン事務所のホーム

ページなら当たり前の情報が掲載されているホームページを新規に

作るべく今作業をすすめています。当たり前になるのに8年もかか

りました。

しかし新しくなってもこの「Language for form」という素敵なサ

イトは継続して観られるようにしようかと思っています。

実際わたしの作業でメインに使っているパソコンでは今でもちゃん

見られます。(逆にタケダデザインプロジェクトのサイトが見られ

ない)ようは「すべてをまかなうものはない」という状態です。

ゆえに「新旧」どちらも継続して行こう思っている次第です。

秋田道夫

2020/2/28

4:32 PM

February 21, 2020


景色としての自分

タイトルから離れた話からすれば、わたしは小さい時から機嫌の良い子

供だったらしい。近所のおじさんおばさんにも愛想よく笑顔を振りまい

ていたそうです。

そんな事を再認識したのは、今から5年ほど前の講演の後に参加してくれ

た方が『機嫌の良さは大事である事を再認識した。』と言った趣旨の話

をツイッターに書いてくださっているのを目にしたからです。

そう言えば昔、大通りを向こうから歩いてくる2人連れの男性がえらく楽

しそうにしていると思って近づいたら1人がわたしだったという話を知人

がしていました。

とはいえその講演会でわたしが話をした事が、自分の調子が良いなんて

「機嫌が良くなって当たり前」の話をするわけではなく、プロダクトデ

ザインの世界の実際を話をしていたわけで、内容は結構シビアなものだ

ったと思います。その上で「総論」として「機嫌が良いというのは強い

し説得力がある」と思われたわけです。ようは正露丸の糖衣錠のような

もので、わたしの話が内容まで「甘い」わけではありません。

ちなみに正露丸の糖衣錠は「それでも特有の匂い」が糖衣を超えて感じ

られますが。

現実は、シビアです。つねに。しかしそれはどこの世界でもだれの生活

でもそうだと思います。

つまり「それを前提にいかに楽しく変換するか」にかかっています。

_

機嫌の良さのメリットはなにかといえば「機嫌が悪くなれる」事かなと

思ったりもします。ようは「相手からよく思われたい」とか「機嫌をよ

くしていないと事がうまく運ばない」とは思っていないのです。

そういった意味では忌憚なく振る舞えるのは、世間からの承認欲求とい

うものは「すでに子供の時に承認されている」と思っているゆえです。

同様に(?)わたしがプロダクトデザインをしているのは承認欲求で

はありません。花形の職業とも華やかな世界だと感じた事もありません。

正直そんな「世間のウケ」を狙った美しくて使いにくいものを作っち

ゃいけないだろうとずっと思っています(いや最近気がついたのかな)

もう一つ言えば「公共機器のデザイン」というたぶん評価の軸になり

にくいものを手がけているのは、地味な世界にスポットを当てるのが

自分の役割だと思うのは、「承認済み」の心境ゆえなのかもしれません。

_

「景色としての自分」というタイトルに見合っているのかはわかりませ

んが、世間から見て自分もプロダクトデザインの世界も「ひとつの景色」

に過ぎないという達観はいつもしているという事です。

秋田道夫

2020/2/21

9:23 AM

February 12, 2020


写真1.jpg

大工真司さんが撮ってくれた写真です。まだ家具も揃っていない新事務所

での一コマです。 面白ですね。いろいろなものが散在しているのにそこ

には目がいかない。(被写体が自分だからでしょうか)

いつもと違ってメガネもなければヤンキースのキャップも無い自分がよく

知っている素の自分です。

_

一昨日ドイツのIF賞の発表がありました。別にわたしが受賞したという話

ではありません。その受賞作の中のひとつに目が止まりました。

それはとてもわたし的なものに思いました。要はとてもシンプルという事。

ドイツのデザイン賞を受賞したものに顕著な特徴は、それはシンプルであ

るという事です。そこに「時代」はありません。

つまり「素」のものがちゃんと評価されるという風土がそこにあります。

それは昨年100周年を迎えたバウハウスのデザイン教育の導きです。

ただの円筒でできたセンサーがベスト賞に選ばれたのもただの円筒をうが

ったルーペが最高賞に選ばれたのもそういうデザイン風土のおかげです。

ただの円筒や矩形をして「わたしらしい」というのはとても不遜に聞こえ

る事は重々承知です。しかしどう考えても「そういう形で収まっていない

製品」を円筒化したり矩形化するのは、ちょっとした発見でもありなかな

かの工夫です。そういう「そうでもないジャンルでそういうカタチ」を何

度も繰り返して来たからのご褒美が「わたしらしい」という言葉だと思っ

ています。

今から10年前にも、やはりわたしらしい製品を他に見出しました。

『それは自分がしなくては。』と思ってデザインしたのがShunik(朱肉)

でした。製品はアルミでできたただの黒い矩形ですが、朱肉という円筒形

でできた世界において「矩形」は発明に近いのです。

タケダデザインプロジェクトでも様々な矩形や円筒や球体の製品をデザイ

ンして来ましたが、意外な事に「影響」という面では矩形と円筒に溝や穴

をうがった小型の「ペーパーウエイト」です。

たぶんわたしを「哲学的」と表されるのはこの製品のような気がします。

そこまでプライマリー(素)にしても製品になる事に驚きがあるようです。

様々な製品であり機能の「素」を見出すのがわたしの仕事かなと改めて

思ったわけです。

秋田道夫

2020/2/12

10:06 AM

February 9, 2020


仮説

「続ける事に意味があるかどうかは続けてみないと分からない」

実は、一つ事を続ける事にそんなに意味を見出していなかったわたしです

が蓋を開ければ会社員になった時から数えると45年にもなります。

独立してから数えても30年以上になります。その間ずっと「プロダクトデ

ザイナー」十分すぎる一つ事です。

仕事先にも10年以上の付き合いという会社も何社かあるし、このブログだ

って2003年に始めたので17年目です。結局は長続きです。

しかしわたし自身は今もって「飽きっぽくて何事も長続きしない。」と思

い続けているので不思議です。今もって飽きっぽい性分です。

ようは「続ける」事は意志ではありません。「結果的に続いている」に過

ぎないわけです。ゆえに「続け方」のアドバイスはできません。

言えるのは続いていることがあれば続かない事にも「意味」があるという

事かなと思います。

1:08 PM

February 6, 2020


伝わり方

先日書いた「世界観」ですが、大事な事を書けてよかったです。

実は半月ほど前、このブログの大切さを書いてくれた方がいたのです。

それもお世辞でもなくまったく淡々と。あらためてブログを育てなく

てはと思った次第です。

_

ブログは「反応がない」というのが基本だと思っています。

そこがFacebookをはじめとしたSNSと違うところです。

わたしはFacebookへの書き込みはブログのための仮説と検証の場に

使っています。つまりどういう話をみんなが好み読みたいのかを知る

ためです。今は繋がっている人は180人ほどです。多くはないです。

それは各人のSNSの捉え方ですが、なにを書いても『わーいいです。』

『さすがです。』なんてコメントが何百と付いたら、わたしは絶対に

「勘違い」をしてしまいます。そして「今」というものにしばれれてし

まいます。

そのへんわたしの「変わり者」を理解してくれているようでデザイン賞

を受賞した事を書いてもいいねがついても『さすがです。』というコメ

ントはゼロでした。

「ソーシャルメディア」であっても独特の色というものは存在し得ると

思います。

秋田道夫

2020/2/6

2:00 PM

February 3, 2020


世界観

最近新しい事務所を紹介していますが、今から25年ほど前にも同様に

すてきな事務所を借りていました。が、2年間でそこを退去しました。

まさに「無理」をしていたんですね。

器を用意すればそこに入る液体(仕事)が満ちてくると思ったわけで

すが現実は、器が大きくなった分だけ入った仕事がより少なく思える

逆の作用をしました。

もう一つ言えばもともとギリギリだったので家具に十分費用を割振れ

ませんでした。

これもまた器が綺麗な分だけそこに置かれたものの不似合いが際立っ

てしまいました。

実はそこにはあるおおきな理由がありました。

それは会社員時代の同僚の中にシリコンバレーにある有名な大学の卒

業生がいて、そこにある今も有名な世界的な企業で日本でのデザイナ

ー(事務所)を探していて、わたしの事務所も推薦してくれたのです。

当時借りていた部屋も新築ではありましたが、いわゆるアパートのよ

うなところで、ドラフターやコピー機やら熱線カッターやらで所狭し

という感じの部屋でした。

結局わたしの事務所は、その次の段階に進めなかったのですが、その

理由を「部屋」にあると思ったわけです。(というか力量不足ですが)

_

今そういう話が来たらどうでしょう。まず『ちょっとそれは荷が重い

ので、仕事(になるか)はどうでもいいですから、ひとまず遊びに来

てくれるだけでも光栄です。ついでに都合がよかったら一緒に食事で

もしていろんなお話を聞かせてください。』というでしょうね。

_

ある意味今よりも「プライド」は高かったでしょう。へんな話大きな

仕事もやれるような気がしていました。「できるか」というより「や

りたい」という気持ちが先に立ちすぎていました。

うまく行かなかったら相手に迷惑がかかると少しも思っていませんで

した。

今だったら「0.5」つまり調査に来た人が独立した時に、わたしに頼

みたくなるような「ニュアンス」を感じてもらえるような言葉を選ぶ

かもしれません。

わたしよりも「もっとふさわしいデザイナー」を紹介するかもしれな

いし、まずは「日本のデザイナー地図」を説明するのかもしれません。 

とにかくわざわざアメリカから日本に来てのリサーチを円滑かつ楽し

く有意義で高い成果が上がるように手助けするのが自分のミッション

と捉えたでしょう。

自信とプライドは違うと思います。わたしは今は、「出来ない」も含

めて自信だと思っています。

秋田道夫

2020/2/4

6:01 PM

January 23, 2020


具現化

階段.jpg

部屋部屋.jpg

椅子椅子.jpg

5:17 PM

January 16, 2020


良いデザイン良い商売

中国で開催されているデザイン賞のひとつに「レッドスター賞」という

ものがあります。「あります」と言っても中国のデザイン事情に明るい

とは言い難いのですが、このレッドスター賞は応募総数が6000点を超

えいて中国国内では「デザイン賞のオスカー」と呼ばれているそうです。

審査委員でもないわたしが、なぜか検索にそのレッドスター賞が出てき

たので、なにかと調べたら、中国の経済コラムにその賞の紹介記事があ

って「デザインとビジネスの関係性」についてなぜかわたしのかつての

言葉が引用されていたわけです。なんだかすごいお話です。

_

『一般ユーザーは、良い外観のものを良いデザインだと思っています。

その素直感想に値するべく、デザイナーは良い外観は使いやすさと良い

機能を持っているからこそそうなっているという事を遂行しなければな

りません。

デザイナーは、既存の製品を常により良きものに変えていく勇気を持た

なくてはなりません。

そしてそれが「良いデザインのものは良いビジネスに繋がる」という良

好な関係性を築くのです。』と。

当たり前の事をきっちりと言っているだけですが、なぜこの話が引用さ

れたかといえば、日頃わたしのデザインが中国のサイトでは「哲学的」

と称されているので、その「お金とは無縁に見えるわたしがいうビジネ

ス(商売です)という言葉に新鮮味があった」という事が一つと、もっ

と大きな理由は中国の製品は「模倣」や「盗用」が多いという事実に鑑

みて、安易な今の儲けではなく長期的な反映にはデザインが有効である

事を言語化しているところにあるかと思います。

そういった意味では、2006年に発足したこのレッドスター賞も「模倣よ

りもオリジナリティー」を評価するために作られたものの一つでしょう。

_

実は、日本のグッドデザイン賞も「模倣よりもオリジナリティー」を評

価するために1957年にできたものですが、実はデザイン性の優れた国と

して知られるドイツのデザイン賞も実は、敗戦国として荒廃した国の中

で粗悪な製品が横行している状況を打破するために1953年に創設された

のがジャーマンデザインアワードでありIF賞であり1955年にはレッドド

ットデザイン賞の創設に繋がっている歴史があります。

_

その記事を書いた人は「デザイン賞とは既存の製品をより良きものに変

た勇気を行動に移した人モノを称えるものである。」と言いたかったの

だと思います。

秋田道夫

2020/1/17

10:50 AM

January 9, 2020


わたしの10年あなたの10年

わたしの話というのは、10年20年という歳月を自在に(?)行き来する。

それを歳のせいとするのは読む側の勝手ではありますが、わたしと同世代

ならたぶんそういう時間軸で生きているし、わたしよりも若い世代ならい

ずれそういう時間軸になっていくでしょう。

わたしはなるべく「観客席(読み手)」を見ない様にしています。さら

にもっとも大事にしているのは、観客席に「呼び掛けない事」です。

『そう思いませんか?』なんて同調を誘発する様な言葉はブログを初め

て15年以上ですが、一度も記憶の中ではありません。発言は自己の中で

完結する物ものです。

_

しかしふっとさっき自分検索で出てきたわたしの講演や講義に出てくれ

た方達の感想文を読んでいて、それが10年前のモノだったりする事に気

がつきました。

つまりわたしが10年の時間が経過したなら観客も10年経過しているとい

う誠に当たり前な事に今更気がついた訳です。

10年前でもすでに社会人ならともかく高校生から大学生、大学生から社

会人という人生でも指折りの変化を経験した10年をどう記すのか、あの

時に聞いた講演はその後どう消化されたのか。そんな事を思いました。

10年前まで戻ってもすっかり社会人というかフリーのデザイナーだった

わたしですが、確実にこの20年この10年は大きく前に進んだつもりです。

その事の意味をわたしではなく見る側だった聴く側だった人たちはどう

受け止めているのかを知りたくなった朝でした。

秋田道夫

2020/1/9

11:40 AM

December 14, 2019


勉強は授業の前に終わっている

うながす.png

来週の20日に以前もポスターを紹介した滋賀県立大学の生活デザイン科

で講評があります。

学生のみなさんの熱心な課題に対する姿勢をfacebookを通してわたしも

臨場感を持ってその過程を見ています。

ある日、南先生がこの画像をアップされました。

書いた本人が何年前のものか覚えていないんですが、ある意味「ずっと」

思っている事です。

自分が高校でもすでに工業デザインを学んでいた事もあって、大学は学

ぶ場ではなく自分の考え(アイディア)を「試す場」だと思っていまし

た。もうひとつの意識は「学校はすでに社会であって会社である」とも

思っていました。ようは学生の甘えはなかった。学生だから許される

事はなにもなく、「若気の至り」もないだろうと。

その意識は会社に入ってとても有効でした。学生と社会人の敷居も段差

も感じませんでした。

7:47 PM

December 5, 2019


来年という的

vantech_52.jpg

昨日、大学の後輩にして大事な友人の平田智彦さんにGerman Design

Awardを受賞した事を伝えました。

まあ、ここでも書いているしSNSでも知らせているので受賞は知ってい

思いましたが、大事な人には直接伝えたいわけです。

そこにはもう一つ理由があって、以前Reddotを受賞した事を平田さんに

えた時に、受賞したのがルーペでは無い事を伝えると『あのルーペだ

どんな賞を獲ってもおかしく無い。』と言ってくれていたのでそ

「予言」が的中した事を伝えたかったわけです。

_

1990年代の終わり頃、わたしは低迷というか迷走していました。

残念な事に本人の自覚は薄く「積極的に迷っていた(?)」わけですが

その迷走から目を覚まさせてくれたのが、平田さんです。

『そんなデザインは自分のかつて見た秋田さんでは無い。』そうずば

摘されたわけです。なぜ平田さんの言葉が重いかと言えば彼がデザイナ

の付き合いも多く、いつも時代の先端で勝負をしている上での言葉な

のである意味いつも自分ばかり見ているわたしには大切な目なんです。

目であり的確に言葉化してくれるので口でもあります。要は彼1人と対

するとその背後に世間が広がっている訳です。

彼の忠告にしたがって秋田らしいデザインに復帰した20年なんですが、

そのガイドに従ったおかげでこうやって賞にも恵まれる今の自分がい

す。

_

的なんていうものは「いつでも外せる」。

矢が手を離れた瞬間に的が落下すればそれは当たらない的が消える事も

ある。ようは「当てにならない」わけです。

なにを的にすれば良いのか?それは「買い手としての自分自身」です。

自分という的を射抜けるかどうか。それがわたしの命題でありそれが

平田さんという的を射抜く最短の方法であり、それが平田さんの背後に

見える世間を射抜く最善の方法です。

秋田道夫

2019/12/5

11:11 AM

December 1, 2019


再録「出来ないものを考えつく能力」

学生とプロとの違いはなにか?
 
案外に難しいんですね。この答え。自分を振り返ると今でも「学生の時の方が冴え

ていた」と思っているわけで、「学生ノリ」が無くなってから一度もコンペで受賞

していませんから勘違いのパワーはおおきい。
 
社会人になって感じたのは「できないこと」の多さでした。なまなましく言うと

ういう製造メーカーとおつきあいしているかそんな事が案外に大きな要因になって

います。『これうちじゃできない』と言われてしまうと「できるはずのデザイン」

があっというまに「できないデザイン」に変貌します。

 
「詳しくなればなるほど、自分で作れるものが増える」そう思うかもしれませんが

「詳しくなればなるほど出来ない事に寛容になる(諦める)」という側面も同時に

身につけるのです。作れないという指摘が的確なのが「ベテランデザイナー」と

う事になるのです。
 
わたしが「物事に詳しくならない」と言うのは、こうした経験と結びついています。

『学生に戻ろう!』です。一番大切なのは、設計者も企画者も製造者も「できない

デザイン」が、けっして「嫌いじゃない」という事です。「できないデザイン」に

「それが実現できるといいなあ」という魅力があれば、それを作りたいというモチ

ベーションが、そこに関係する人たちに生まれます。

 
おおげさに言えば製造メーカーは、それが作れるようになるために高価な工作機械

を導入するかもしれないし、『作れるところに連絡してみましょうか』そういう事

おきるかもしれない。「製造」に詳しくて製造メーカーに『こうやれば出来るの

あなたはしないのか?』なんて問いつめをしたら相手のプライドを傷つけてでき

るものまで出来なくなると思っています。
 
経験や知識は「ものづくり」ではなくて「ものづくりに関わっている人の自信とプ

ライドとそして弱い気持ち」を理解する事だと思います。

できないものを考えつければ「できるもの」も見えてくる。その上で「できないも

の」を考え続ける事がデザイナーの仕事だと思います。


 

8:04 AM

November 7, 2019


課題を自分にも課するということ

今年も12月に滋賀県立大学の生活デザイン科で課題講評をします。

恒例化した感がありますが、1回目が2010年という事で今年はちょうど

10回目にあたります。くしくも「2010〜2019」という事で2010年代を

ずっと課題が続いた事になります。

わたしはこの10年間で学生の人たちがどう変わったかは皆目分かりませ

ん。良くなったとかそうでなくなったというのはまったく感じません。

そういう比較は「だれも幸せにならない」褒められてもそうでなくても。

わたしはそれ以上に自分が課したテーマの良し悪しの方が気になります。

なにせ2012年に「具体的な製品をデザインしてもらう」ようにしてから

毎年そのテーマになる製品を変えてきたので、その課題がどう学生のみ

んなに「適しているか」の方が気になるのです。

毎年同じ課題を出して去年はこうだった一昨年はああだったというも楽

しそうですが、わたしも成長したいし学びたい。教えるということは自

分の学びです。さりとて自分の学びのために学生に無理を強いるのは本

末転倒です。ゆえに課題を考えるのはなかなか「デザイン」です。

秋田道夫

2019/11/7

10:46 AM

November 5, 2019


firmroom19

formroom19.jpg

久しぶりにformroomを開催します。

テーマは「暮らしがデザイン、デザインが暮らし」

2010年から2019年までの自分のデザインの変遷と、これからの10年の

デザインについてプロダクトデザイナーであり、会場としてお借りする

「頁ギャラリー」のオーナーでもある江口海里さんと一緒にお話しした

いと思っています。

今回は大阪なのですが来年には東京でも再開しようかと思っております。

なお参加は無料ですが希望者は、大工真司さんまでメールにてご連絡を

お願いします。daiku@ninth.jp

10:28 AM

October 31, 2019


ノーベンバーステップス

昨日、はじめて銀座SIXのビジネスエリアに入りました。

かねてからその7階にあるエントランスにわたしのデザインしたセキュリ

ティーゲートが設置されていることは知っていたのですが、はじめてその

ゲートを見てさらにそのゲートを通りました。

高見沢サイバネティクスのサイトによれば、六本木ヒルズに設置されてい

た前任のTAG-5000はお役御免になったようで、後継機のTAG-9000がこう

やって活躍しています。

TAG-9000は、虎ノ門ヒルズ、東京駅前にあるKITTEビルや渋谷ヒカリエ

も採用されています。

ちょっと感動覚めやらぬ中で、商業エリアの蔦谷書店に併設されている

スターバックスに行きましたが、ここでもびっくりするような「再会」が

ありました。

混雑を極めている店内でスタッフの方が見つけてくれた席に座ってその横

を見てびっくり。本棚に「おすすめ」のように立てかけてある雑誌AXIS

に見覚えがあります。

1996年。ソニーのMD用にデザインしたMDラックについてのわたしの一文

が載っている号だからです。

とにかく不思議な1日でした。


昨日は11月(ノーベンバー)じゃない?

おいおいタイトルの理由がわかります。

ginza_six02.jpg

TAG-9000:高見沢サイバネティクス

ほん.jpg

8:55 AM

October 28, 2019


空気のてざわり

DSCF0048.JPG

15年ぐらい前にルーブル美術館に行った時に撮影した写真ですが、当時

使っていたフジフィルムのFinePix1700というデジタルカメラの画素数は

150万画素という今からすれば、スマホのカメラにも遠く及ばない性能で

すが、わたしにはある意味「魔法のカメラ」でした。

さして明るくはないルーブル美術館の中で、三脚も使わないで「パシャ」

っと撮っただけでなぜこんなに「情報量」が多いのか、大理石に刻まれた

ものやその質感がまさに手に取るようにこちらに伝わって来ます。

その後魔法のカメラが壊れてしまって、一眼レフタイプのデジカメを買っ

た訳ですが、なにかが違うんですね。デジタルカメラなのに「アナログ

(フィルム)とデジタル」の比較をしているかのようです。

撮影してから15年が経過したしましたが、ますます輝いて見えます。

10:53 AM

October 24, 2019


印象

下向きプロフィール.jpg

写真は去年の12月に大阪であったトークショーでの一幕。

といっても講演が終わった後にカメラマンの方の「希望」で下を向いた

ポースをおおげさにとっただけで実際に困って下を向いているわけでは

ありません。

なぜ新たにこういう写真を載せたかといえば、わたし自身印象というか

自分の見た目の有り様にはこだわりがあります。

まず騒がしいのもいやだし、立ち居振る舞いが大袈裟なのもいやだし、

「威嚇的な」服装もいやだし、もっとも嫌なのが「自分はすでに確立し

ていて相手をどう評価するだけ」みたいな振る舞い見た目は避けたい。

今から20年前、デザイナーの写真といえばモノクロで斜め前を向いて

澄ましている、というものが多かった。少なくとも笑わない。

わたしはまだプロフィール写真を公開するような立場(?)でない時

からカラーで正面を向いて笑顔の写真にしようと決めていました。

ゆえに今ネットで見られるプロフィール写真はほとんどが笑顔です。

それでも多くの人は「面倒な人」と思っているようなので笑顔も通用

していないわけです。 作品(製品)と文面が面倒なんでしょう。

10:56 AM

October 20, 2019


継続への感謝

IMG_2949.jpg

先日オリベッティー の電子計算機を入手しました。

1974年マリオベリーニデザイン「ロゴス55」。

多分、当時は「ロゴス」という名前の意味も判らなかったでしょうが、

今であればその出自がギリシャ語がラテン語で英語の「logic(ロジ

ック)」につながる言葉だろうと推測できます。実際当たっているわ

けで、少しは成長しました。

生活デザイン研究所には、この写真の3台以外にも参考品がありますが

今イタリアのデザイナーの手掛けたものであり1960年代から1970年

代はプロダクトデザインの主流はイタリアにあった事を示しています。

今後は、ブラウンを中心としたドイツ製品やB&Oを中心に北欧の製品

も集めていきたいと思っています。

「継続への感謝」とタイトルしたのですが、今見てもこれらの製品に

はチカラがあり魅力的であり「懐かしさ」というよりは新鮮さの方が

飼っています。 そういうものがわたしが今もデザインを続けている

原動力でありモチベーションであり、先生となっくれた事への感謝の

気持ちがあります。

秋田道夫

2019/10/20

5:12 PM

October 5, 2019


ライフタイルデザイン

「暮らしが仕事、仕事が暮らし」と言ったのは陶芸家河井寛次郎です。

寛次郎はこうも言う「すきなものの中に必ず私はいる。」

さらにこうも言う「売るという事が始まってからの物の乱れ、

わかりもしない人の好みを相手に作る事からの物の乱れ、

先ず自分の為に作らねばならない、

自分を喜ばす物から作らねばならない、

それからだ、それからだ」

_

憑依というものおかしいですが、今更知った河井寛次郎の言葉はあまり

にも「自分の様(よう)」です。

すでに何十年も前に河井寛次郎の生活実感から出た言葉に、それを知ら

ずそこにたどりついた自分の感覚は貴重です。

10:39 AM

September 8, 2019


EOS 5Dmark2

向かい.jpg

別に「いい写真」と思って掲載したわけではありません。

事務所の窓を開けてパシャリと一枚撮った写真を載せたまでです。

事務所の前は4階建てのおおきなマンションを建設中です。

これで前と横がマンションになりました。(なります)

_

最近、偶然ユーチューブ(今時ですね)で、キャノンのEOSの5Dを安く

買った話題を観てしまいました。

別に5Dと聞いてもなにも感じない人がほとんどだと思いますが、実は

今から10年前「新東京百景」と題した写真展を開きました。

それは新型の歩行者用LED灯器が東京の街といかに「付き合っているか」

という様子をわたしが撮影したものを集めて展示したものです。

真夏に各所に行って来ました。その為に新たなカメラを購入したのです

がそれがEOSの40Dという新製品でした。

40Dはそこそこ高いカメラでしたが、5Dはたぶん30万円ぐらいしたんじ

ゃないでしょうか。当然素人カメラマンの自分の範疇ではありません。

それが今では1/10の値段で売られていると知れば色めき立つのは当然(?)

です。

なぜ5Dがそこまで高価だったかと言えばCMOSと呼ばれる画像素子が、

35mmフィルムと「同じサイズ」だったからです。

ふつうのデジタルカメラは、CMOSが小さくてそれを技術的に拡大して

使用しています。ゆえに例えばフィルムカメラ用に購入した50mmのレ

ンズがあるとすると、40Dでは1.5倍で75mm相当のレンズと同等になっ

てしまいます。それが5Dだとそのまま50mm。

まあ50mmが75mmというのはそう大きな問題でもないかと思いますが

奮発して24mmの広角レンズを買ったのに35mm相当になるのは結構痛

いものです。まあそんな適当な技術論は馬脚をさらすばかりなので、こ

れぐらいにしますが、単純に考えて「そのまま」に写った方が良いに

きまっているのですが、さすがに30万は厳しいですね。

べつにカメラが欲しかったわけでもないのですが、これは魅力的と思い

すぐに中古カメラ店に走った訳です。

状態の良いものは、そんなに安くはありませんでしたが、元値を考える

と当然と思い購入しましたが、実は安い理由にはおおきな理由がありま

した。メーカーの修理が、発売から10年後である昨年で終了していまし

た。「保障」じゃないんですよ、有料でも修理してもらえない。つまり

交換部品のストックがメーカーにも無い訳です。

つまり手に入れた5Dmark2は、故障してしまうと重い(思い)不要品化

してしまうわけです。まあ今の世の中なにかしらの手だてはあるでしょ

うが、デジタル化されたカメラの修理は光学式のカメラのようには単純

ではないでしょう。(逆かもしれませんが)いずれにしろ光学ならぬ高

額になるでしょうね。

まあそんな心配をしてもしょうがないので、手にした5Dの35mmフルサ

イズCMOSセンサーの魅力を感じたいと思います。

10年前と同じ単焦点50mm(ようはズームがないレンズです)で撮影し

た「工事中のマンション風景」ですが、結構「画面の端っこまでびしっ

と撮れている」ように思うのは、ひいき目なんでしょうか。

4:59 PM

September 4, 2019


資料としてのブログ

これまで15年ほど続けて来たブログですが、そのほどんどを残してき

せんでした。

大きな理由は、文筆が生業でもない自分の書いたものを「残す価値が

る」と本人が思っているのはちょっと恥ずかしいからです。

ただ「思っている事を文章にする」という行為はデザインをする行為

も通じているので、書く事自体は今も好きだし重要な日々の行動だ

とは思っています。

しかし最近その「残さない」という心境に変化が生まれています。

『自分のブログにも資料性があるかも。』と思うようになりました。

理由のひとつはSNSの普及です。

ツィッターやフェイスブックというSNSの普及によってブログはあきら

かに衰退しています。衰退したからこそ意義が新たに生まれている。

なぜならSNSにも限界があるからです。


わたしもSNSで様々な表現をトライをしてみました。

「まじめな話」ほどいいねがつかないというある意味不思議な現象を経

しています。つまり読み手の見えない感情の壁がそこにあります。

それをある人は「キャッチボール」に例えました。つまりお互いに軽く

ボールを投げたり受け取ったりする行為を楽しんでいる訳で、唐突な

球はキャッチされない訳です。

_

真実は遠い人からもたされる。

何十年も知らなかった大事な事をまったく会った事の無い人の話題の中

に見いだす事があります。

書いた本人はすでに無自覚でさしたる内容でもないと思っている話題の

中に大事なキーが含まれていて別にわたしを励ます気持ちが無いにも関

わらす励まされたりしています。

この中国のサイトの情報もそうです。なにせ5年も前に書かれていたのに

今頃になって検索に出て来ましたから。

「声は近いほど明瞭だがその意味するところは揺れていて、遠い声は小

さく微かだがその内容は明確である」

今年Red dotデザイン賞のベストオブベストを受賞しましが、これまで

界のデザイン賞にはとんと縁が無かったわたしが、60代の半ばにな

立て続けに受賞しているというのはとても不思議です。

ひょっとすると受賞者の中で「最高齢」の一人かもしれません。

それがゆえに「資料性」を意識しだしたわけです。高齢化が進む中でわ

しの「イレギュラーさ」は、これから受賞者の年齢が上がる魁かもし

れません。

情報や評価は光の速度で伝わるけれど、0.5光年いや数光年のずれがそこ

にあるように感じています。

秋田道夫

2019/9/4


https://www.leatherhr.com/news/details/2014/4-9/59-5363-1.html?fbclid=IwAR1uR8Q3NZqs3nC2YWLLPZ6m4xr9OUmEk2x6KnaIiMHRvsA-A-vr3xrUH9M

中国.jpg

10:51 AM

August 18, 2019


生活(を)デザイン

カンディ.jpg

大学時代の同級生有志による展示会「Hygge(ヒュッゲ)展」が昨日から、

名古屋で始まりました。

今回は、家具のお店カンディハウス名古屋をお借りしての展示なのですが

あくまでも「展示されている家具」が主人公です。

実はわたしはこういう「生活の場を再現した展示」は初体験です。

日頃は「しつらえ」というか「製品が映えるような事」を出来るだけ避け

ているふしぎなデザイナーですが、こういった素敵な家具と環境があると

いつも以上に輝きが増しているように感じます。

_

ちなみに素敵なお皿は、展示会場である「ノリタケビル」一階のショップ

で買い求めたものです。なんだかそういった意味でも「最適」な場所です。

2019/8/18

秋田道夫

10:51 AM

August 6, 2019


マドラー220

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detail_7089_1561104790.png

以前紹介した「マドラー220」が、今クラウドファンディング「makuake」

で協力者を募っております。

昨日募集がスタートしたばかりですが、すでに目標を達成しました。

ありがとうございます。つまりこの一文は、お礼のつもりで書きました。

素敵なロゴとパッケージデザインは南政宏さんの手によるものです。

秋田道夫

2019/8/6

7:17 PM

August 2, 2019


無隣有隣

論語にこんな言葉があるそうです。

「徳不孤必有鄰」

「徳あれば孤立はしない、必ず隣人(理解者)が存在する。」

_

自分をして「徳がある」とは言いがたいですが、わたしにとっての「徳」

とは「みんなの生活を豊かにする良いデザイン」に他なりません。

なぜそんな言葉を出して来たかといえば、以前講演会に来て下さった方

から一通のメールが、数日前に届きました。

そこには、吉岡徳仁(名前に徳がありますね)さんがデザインした、来

年開催されるオリンピックで使われる聖火ランナーのトーチについてそ

のデザインコンセプトを説明するインタビューの記事を教えてくれてい

ました。

たぶん吉岡さんの事務所と思わしき部屋の机にトーチのサンプルととも

に、タケダデザインプロジェクトのペントレイがおかれていました。

_

先の論語の言葉は、京都の岡崎にある山県有朋の別邸「無鄰菴(むりん

あん)」の名前の由来から知ったのですが、興味深いのは本来は「隣り

に家が無かった」事からつけられたものが、その真逆の言葉を誘発して

いる事です。

つまり「人のつながりは距離ではない」という事を意味しているし、

山県有朋も「精神的には独立している事」を意味しているのかもしてま

せん。

_

吉岡さんは、おそらくふつうテーブルにはなにも置かれないだろう。

わたしもデスクにはなにも置かないのが「基本」です。

勝手な憶測ですがひょっとするとそれは、親しい方からのプレゼントで、

気持ちを大事にしている事を示しているのかもしれません。

_

吉岡さんのデザインは、いつもずっと先を進んでいる。まわりには誰も

いない孤独を感じているでしょう。しかしそのすばらしい仕事ゆえに

評価もされる。そういう事をわたしの製品がお役に立てている事が嬉し

い。同時にわたしも「唯一」を目指さなくてはという思いを新たにした

エピソードでした。

秋田道夫

2019/8/3

かまど.jpg

11:33 AM

July 21, 2019


存在感

インテリアライフスタイルセラミック.jpg

別に、do-nabeが真ん中だから主人公というわけではありませんがセラミッ

ジャパンを支える製品のひとつになっている事が誇らしいです。

http://www.ceramic-japan.co.jp/

8:58 AM

July 16, 2019


「機微」

今お仕事をしているOGウエルネスが、岡山に本社があるので岡山につ

いて少しは知識が増えているのですが、岡山駅前には桃太郎の像が建っ

ています。

ところで桃太郎が、キジや猿や犬にプレンゼントした「きびだんご」で

すが、ほんとうは植物の「黍(きび)」ではなくて「機微」で出来た言

葉と行動じゃなかったと思うわたしです。

人がついて来てくれるようにするには確かに「食べ物金銭」を与えるの

も有効かもしれませんが、やっぱり相手の心の動きをさっして塩梅する

「機微」は必要かと思います。

「厳(きび)しい」ばかりでもダメだしね。

岡山出身の星野監督も、実は選手と家族の誕生日を覚えていて声をかけ

たりプレゼントしたりされていたという繊細な思いやりがあったようで

厳しい一方ではなかったようです。「黍だんご」も「機微だんご」もあ

ったわけです。

_

なぜそんな機微についてプロダクトデザイナーのわたしが考えるのか。

「それを使うと人は何を思うのか」そういう事(ばかり)考えてデザイ

ンしています。

考えている割には、円筒だったり直方体だったりというとんでもないシ

ンプルな結論がなぜ「機微」なのか。

特定のカタチをしているとすべて(とは言いませんが)がデザイナーの

柄に帰属しちゃうかなと思う訳です。 それよりは使う人がそれぞれに

「工夫を思いつく」のが、なんだか素敵な「きびだんご」に思うわたし

です。

 まあ「伝わらない覚悟」をしているわたしなので意図は伝わらなくて

も構わないのですが、おそらく長く使っていると『なんだこういう事

か。』という気付きのプレゼントはもれなくついています。 


秋田道夫 2019/7/16

11:08 AM

July 11, 2019


「3年目のあなたに」

わたしはブログをはじめるにあたって考えていたのは「会社に入って

3目のデザイナーに向けて書こう。」という事でした。

それはどういう事かと言えば、学生の頃は、世間のデザインもデザイ

も「一方的に見るもの」であり「一方的に批判をするもの」です

んでしまいます。ようするにリアリティーがありあせん。雑誌の上

(今ではネットの上)の話です。

まあ、会社に入ってもそう状況は変わりません。まわりも「初心者」

て様々な失敗も多少は許してくれる。逆に言えば先輩たちのして

いることも自分でしない分「批評」をする側にいたりします。

ところが、後輩が入ってくる2年目3年目に入ると自体は一変します。

要領の良い後輩もいたりして、中途半端な経験(みたいなもの)を持

出して先輩ずらも通用しないわけです。

要は「言う側」から「言われる側」、「見る側」から「見られる側」

立場が逆転します。

焦りますね。そういう心情の人に先輩(ずらはしないですよ)という

「昔経験した自分」としてなにか参考になることは書けないものか

なと思ったわけです。

_

先日も「賢さ」について書きましたが、デザイナーにあっても描写力

絵のうまさやアイディアだけでなく「文章力」やさらにいえば「世の

中の全体の流れを俯瞰する力」が求められる様になっています。

全部まとめて「客観性」なのかもしれません。

わたしがした事を言えば「企画や設計や営業と仲良くなる事」でした。

というか守衛さんや掃除のおばさんとも仲良くというか挨拶をして一

言二言話をする事でした。

ようするに損得抜きでみんなの元気がなれば良いという心持ちです。

客観性を極める(?)とどうなるかというと「デザイン」ましてや

プロダクトデザイン」なんて吹けば飛ぶような存在だという気持ちで

した。

たかだか知れているわけです。

さすがに「宇宙は広い」なんていうところには行きませんでしたが、

『ダビンチとミケランジェロのライバル関係を考えれば今のデザイ

でどういう言ってもしょうがない。』と学生の頃から思っていました。

あの人のデザインがなんて事よりも「具体的に影響のある」周りと

コミュニケーションの方がどれだけ大事かわかりません。

_

多くのデザイナーは「デザインが上手くなる」ために、会社でもデ

インを勉強しますが、実は一般の人から見ればすでに「とんでもなく

知っている」し「絵も上手い」という風に受け取られ待ています。

(絵が苦手なら人前で描かない事です)

そんなこともよりも「今流行っている事を例えてデザインの説明で

る」ようになった方がよほど「有用」です。

デザインを学ぶほどに「世間一般から乖離」します。

目の前の事を「言われる前にさっさとやって」周りから「重宝がら

る」のが大事かなと思います。

理屈抜きにやった事が後から見ると「理にかなっている」というあ

ようは素敵です。

_

美大に入ればプロダクトデザイナーとしてなんとかなる。いい会社

入ればプロダクトデザイナーとしてなんとかなる。そう思いがちです

がそんなにプロダクトデザインの世界は盤石でも堅牢でもありません。

すかすかのザルでありまばらな柵にすぎません。

デザインの良し悪しなんて世間も残念ながらデザイナー自身もよく

かりません。

大事なのは『彼いいよね。』とか『使えるね。』とか『ほんと助か

なあ。』そういう言葉を日常でもらえるのが、嬉しいし結果として長

く仕事を続けられる一歩かと思います。

秋田道夫 2019/7/11

1:54 PM

July 8, 2019


Red dot 2019 Best of the Best

計測器メーカーアタゴの新製品小型計測器「IoT データーハブpiccolo」

が、ドイツのデザイン賞「Red Dot Design Award 2019」の最高賞に

たる「Best of the Best」を受賞しました。

世界三大デザイン賞の一つと称されている「red dot」ですが、今年は、

世界55カ国から5500点の応募があり、Best of the Bestを授賞したの

応募総数の1.5%にあたる80点でした。

_

その製品は、4種類の液体成分の測定結果をIoT(Internet of Things

のインターネット)を使って、スマホにデータを送信して蓄積す

という最新のもので、その機能を超小型にまとめた事が評価された

です。

_

わたしは1990年代相当に「新しいカタチ」というものを見つけられ

彷徨っていました。

その終止符になったのが、2003年に発売された一本用のワインセラ

した。四角と円筒で「豊かな表現」が可能である事をカタチにした

ものです。デバイスタイルのシンプルで「モノクローム」のデザイン

が評判になった事によってひとつの確信を得ました。

だれでも考えられるかたちです。しかし難しいのはその単純なかた

機能と結びつける事です。

しかしわたしはその「基本形」で「無色」な形状に立ち返る事によ

考える要素を減らして機能の関係性に時間をかけるようにしたのが

今のわたしのカタチです。


2019/7/10 秋田道夫

ピッコロRED.jpg

10:11 AM

June 28, 2019


「賢さって何か」

仰々しいタイトルですが、わたしの事なのでそう難しい話にはなりま

せん。

_

デザインコンペや卒業制作を見て感じるのは「賢さ」なんですね。

プロダクトデザインに限定すれば、以前なら「完成予想図(スケッチ)

がすばらしい」といった描写力が重要な要素でしたが、最近では「絵

の上手さ」を感じる事が出来るのは、カーデザインのカテゴリーだけ

と言ってもおかしくはありません。

その人の絵の素養を、パネルから想像することは相当に困難です。

その代わりに見えてくるのは「仕上げの綺麗さ」と「簡略的に表現す

る」能力というものであり、さらに言えば「文章力」でしょうか。

自分が学生の頃には、文章が書けなくても「事が済んだ」ように思い

ますが、結局のところ製品(作品)がシンプルに(平板に)なるほど

に「その意図」を明確で読みやすい文章で表記することは「必須」に

なっているように思います。

ふつうで言えば「造形力」や「発想力」と書いても良さそうなもの

ですが、そういう事も今の「出口(アウトプット)」では、「綺麗

にまとまっている」「タイトルが秀逸」といった事に集約されてし

まいます。

賢い人つまり優秀な学生というのは、ターミネーターに出てきた液

体金属のロボットみたいなもので「どんな課題が出てもすり抜けて」

答えを出してきます。

A1のパネルを5枚でまとめなさいと課すれば、5枚をまとめてくるし

A2のパネル1枚といえばそれでまとめてきます。

つまり「全体を把握」しているので、拡張も圧縮も自由自在です。

日頃活躍できていない人に、活躍の機会を作りたいと課題をひねっ

ても結局は無駄(ではないですが)なんですね。

例えば、100円ショップで一番高そうに見えたものを買ってくると

いう「ただ買ってくる」だけの課題でも、結果的にトップに選ばれ

たものは、日頃優秀な作品を作る学生さんでした。

こうなると「絵が描ける「発想力が豊か」も関係なく、その人の

「デザイン力」のいくばくかは「自ら仕事をしなくても分かってし

まう」という事を意味してきます。

つまり日頃から本を読み街に出て「現在の価値のなんたるかを考え」

「相手の立場になってもの事を考える」というトレーニングをして

いるかどうかにかかっているといえます。

_

この話は結論めいたものはありませんが、わたしは今のデザインと

過去のデザインを比べることはしません。

なにせ「社会という空気」がないと生きていけない仕事なのですべ

てのことは「空気のなせる技」だと思っています。

ただ変わらないというかますます大事なのは「人に見せるものは綺

麗でなければいけない」という事かと思います「綺麗にできる」と

いうのは色々な要素の優先順位を考えて不要なものはカットしない

とそうはなりません。「見ていただく」事に対するもてなしの気持

ちの有無がわかります。

つまり仕上げの綺麗さはその人の賢さを端的に見せるものだと思う

事です。

秋田道夫

2019/6/27 iPhoneから送信

7:27 PM

June 27, 2019


DESIGN TOKYO 2019

展示会2019.jpg

昨日から、ビックサイト青海展示棟で「DESIGN TOKYO 2019」が始

まりました。

タケダデザインプロジェクトの展示ブースは「一番奥」です。

でも勝手な想像ですが、それは偶然ではなくて来場者の導線を最後まで

持っていく主催者側の意図かなと。あくまでも「私見」です。

なぜそんな風に思うかといえば、ブースに立ち寄ってくれる人が毎回多

いからです。(参加当時は、入り口近くでその事を喜んでましたから)

評判が良いので当初のブースサイズの3倍になりました。

ブースが広くなった事よりも、その後開発された製品が増えて全てをゆ

ったり展示できるスペースはもうありません。

シックでシンプルなブースデザインと「キラキラ」した展示品。

DESIGN TOKYO 2019の「必ず見るべきブース」の一つだと思います。

これも「私見」ですが、

秋田道夫

2019/6/27

10:34 AM

June 20, 2019


更新もしくは2008年

1ru-buru.jpg

ブログの場所が変わってあらためて「information」というブログは何

なのかを思うわけです。

「秋田道夫 information」と検索したら2008年7月のキャッシュが出

てきました。

わたしが自分の書いたブログを「サクサク」削除するようになったき

っかけの一つがこの「cash」というインターネットの特性にあります。

つまり本人が消してもネットに上げるとどこかにその痕跡や文章は残

るわけです。言い方を変えれば「勝手なクラウド(?)」です。

そのクラウドから自分で引き出したわけですね。

さて2008年7月のわたしは今から見て絶好調ですね。

文章もさわやか。すっかり有名人の振る舞いです。現実には今の方が

有名のような気がしますが、雌伏(?)から解放された気分に満ちて

おります。雑誌の取材や記事や講演会やコンペの審査やパーティーや

という華やかな記事がバンバン出てきます。

_

こんな一文がありました。「1か月に1回以上記事が更新されているア

クティブなブログの数は約300万ですが、それはブログ総数の2割弱だ

そうです。」この文の元になった調査が2008年の7月に発表されたも

ので、ここから6年後に書かれた記事によると「ブログのピークは200

8年だった。」とあります。

要するに、この2008年の7月分のキャッシュ(記録)は偶然でもなく

それは「ブログとしてのピークの遺構」だという事です。

ブログを通して人に知られる事になったわたしはブログのピークに合

わせて自分の「外向きの活動(活躍)」もピークだったわけです。

感慨深いですね。

_

余談ですがわたしの中で「好況感の特異年」というのが二つあります。

ひとつは、1963年。東京オリンピック前年ですね。その年の12月に自

宅が郊外に引っ越したという個人的にな感慨もありますが、なんだか街

が華やいだ気配だった記憶がありました。実は1963年の「紅白歌合戦」

がテレビ史上最高の視聴率だったんです。その数字なんと81.4%。

もうひとつの特異年が、1985年。ここにも個人的な感慨がある年です

が(偶然にも12月の末でした)バックツーザーフューチャーが大ヒット

した年でもありますが、会社も売り上げが最高を記録したといって臨時

ボーナスが支給された年でもあります。

後でわかった事ですが、様々な製品(家電)の「国内で作られる数」が

ピークだったのがこの1985年だったのです。

もちろんここから数年「バブル」に進むわけですが「体力が健全で等身

大での好況感」というのはこの1985年がピークだったように個人的にも

感じます。

_

よくご存知のように、この2008年7月の記事の翌月8月にリーマンショッ

クがやってきます。2009年の初頭には「戦後最高の不況」という話も出

ました。(そんな事はなかったと思いますが)

そんな空気感の中であったのが「エキサイトイズム」のインタビュー記

事でした。

内容は、『こういう不況の時こそプロダクトデザインは活用されるべき

だ。』というスタンスですが、文章の内容同様「みんなが迷っている時に

話を聞きたいと思われた事」というのが今でもありがたく貴重な事だと

思います。

逆に言えば、2008年7月までの「ノリの良い文章」というのは書けなく

なったきっかけの記事でもあります。

秋田道夫

2019年6月20日

10:01 AM